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幼馴染み二人と僕の15歳の試練

5 引越荷物の詰め込み作業に

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 僕の部屋の中の惨状を見てひとしきり笑ったディーリッヒさんは、ちょっと待っててと言いおいて、どこかに行ってしまった。
 残された僕は、また気合を入れて片付け始めたけど、正直、どこから手を付けたらいいかわからない。
 とりあえず、とりあえずね、下着は背負袋の中に収めた。二人からの手紙は箱に入ってるからいじらなくてよくて、でも、物をまとめるにしても、箱や袋が足りない。うん、箱。大きめの箱があれば運びやすいのに。

 むー…と唸ってたら、また、扉にノックの音。
 はーいって答える前に扉は開いて、箱を持ったディーリッヒさんと、他にも何人かの神官さんが入ってきた。ロイクさんもいる。

「え?え??」
「おーこりゃひどいな。ラルフィンは意外とこういうのが苦手か?」
「早く終わらせましょう。もたもたしていたら朝食が食べれなくなりますよ」
「手分けしましょうか。とりあえず衣服は袋の中に。少しの間だから皺になることもないでしょうし」
「ラルフィン、その背負袋背負って、教典と……この箱は大事なもの?なら、お前さんとりあえずそれ持ってたってな。見られて困るものは?特にない?なら適当に詰めるぞ」

 一体何でこんな状況に………ってわたわたした。僕がわたわたしたところで何もできないから、部屋の片隅に立ちっぱなしで、呆然と部屋の中を見てた。

「あ、その枕と肌掛けは私物ですね。箱いけます?」
「棚の本入れるから箱まわして。インク気をつけてな」
「ティーポットとカップ、これ割れるわ。小さめの箱とタオルとかないかしら?」
「小さめの箱持ってきてるよー」
「じゃ、それ、私の方に回して」

 言葉も出ないまま、僕ができなかった引越し準備が進んでいくのを眺めていた。
 そしたら、また、ノックの音で――――

「ラルフィン、準備はどうだい――――って、なんだ、みんな来てたのか」
「「神殿長」さん」

 神殿長さんは、部屋の中を見ると、これまた楽しそうに笑いだしちゃった…。
 …というか、今って、お祈りの時間だよね。いいのかな…。

 こういうのって、エルが得意なんだよね…。僕とディーはいっつもエルの指示で動いてたから…。

「神殿長、これ持ってください」
「ん?ああ」

 あああっ。
 神殿の中で一番偉い人の手の中に、僕の私物の詰まった箱が……。

「ご、ごめんなさい……」
「いや、気にしなくていいんじゃないかな。みんな、ラルフィンのことを構いたいだけだよ」

 うーん…、確かに皆さんに対しても申し訳ない気持ちがあるけど、それより、荷物を持たされて僕の隣に立たされている神殿長さんに申し訳なくて…。
 神殿長さんは嫌な顔ひとつしないで、テキパキ動く皆さんを楽しそうに眺めてるけど…。

「部屋を移動するときにね」
「はい?」
「こうやって手伝いをするのは当然のことなんだよ。これまでありがとう、これからもよろしくって意味を含めて。……まあ、ここ最近部屋移動するようなことはなかったし、全員で取り掛かるっていうのも初めてかもしれないけど」
「ディーリッヒさんが呼んできてくれて…。早くしないと、朝ごはん食べれなくなっちゃうから、って…」
「なるほどねぇ。ディーリッヒらしい」

 僕達だけのんびりと話をしてたら、詰め込み作業は終わったみたい。

「ありがとうございます」
「なんの」
「まだまだこれからよ。さっさと運んで朝ごはん食べて、お掃除しなくちゃね~」

 皆さんからほっこりとした返しをもらって、僕もやっと肩から力が抜けた。


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