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幼馴染み二人とほとんど会えなくても豊穣の国の神殿で頑張ります
14 頑張れる……かな?
しおりを挟む女神さま。
僕の大切な二人は今日は無事でしたか?
あの二人ならきっと大丈夫だと思うのですが、それでも僕は心配です。
遠くにはいないのに、すごく遠いです。
手を伸ばしても、つながる場所がありません。
まだ一日も経ってないのに、凄く寂しいです。
あ!でも、女神さまのことを知るのはとても楽しいですよ。女神さまのことを知れば知るほど、僕の心はなんか綺麗になっていく気がします。
でも、あの本はちょっと重たいです…。運ぶと手がプルプルします。そういえば僕、村でもあまり重いものは持っていなかったんですよ。いつも二人が持ってくれたから。
……あ。やっぱり二人のことばかり考えちゃいます。
今日一日、何してたのかな。
店主さんに鍛えてもらったのかな。
少しでも、僕のこと思い出してくれたかな。
「ラルフィン!」
「え」
突然呼ばれてびっくりした。
きょろきょろ見渡したら、なんか呆れ顔のキリル君の姿。
「いつまで祈ってんの?ほら夕飯行こう。もうみんな移動したから」
「え…」
確かに、この部屋にいるのはキリル君と僕の二人だけだった。
夕飯…と聞いても、すぐには動けなかった。
今まで、祈りの間に誰かに中断されたことなかったから、なんか、もやもやしてる。
ディーとエルなら、待っててくれるのに。
「先に行ってていいよ…?」
「お前、なんかぼーっとしてるから、心配なんだけど。ほっといたら夕飯食べなさそうだし」
「ん……、わかった……」
部屋に置かれた小さな女神さまに、ちらりと視線を向ける。中途半端になった祈りに、女神さまは怒ってはいないみたい。
ごめんなさい、女神さま。
明日の朝はもっとちゃんと祈ります。
「ほら、行こう」
…って、キリル君が右手を出してきた。
「ん、あの、ね?ごめんね。手は繋ぎたくないから」
「…朝もそんなこと言ってたよな。なんで?」
「なんで…って、言われても…」
あの二人以外と、手は繋ぎたくない。でも、どう言ったらいいんだろう?
「潔癖症?」
「けっぺ……って、なに?」
「それか対人恐怖症…は、ないか」
「???」
「ま、いいや。じゃ、そのまでいいから行こうぜ」
キリル君は手を引っ込めて、扉に向かった。僕は慌ててその後ろについていく。とょっと怖い。
キリル君の背中を見ながら、僕、ここで頑張れるのかな…って、ちょっと不安になった。
だから、耳に触ったのは、無意識で。
そこにある石が、なんとなくほんのり温かく感じた。多分、僕の体温で温まっただけなんだけど、なんか、二人から見守られてるような気がして、少し気分が浮上する。
「それ…ピアスだよな。ラルフィンの年でつけてるの珍しい」
「もらったんだ。大切なものなの」
「ふうん……。無くさないように気をつけるんだぞ?」
「うん」
キリル君が心配してくれた。
…もしかしたら、怖い子じゃないのかも…?
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