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幼馴染み二人と村から旅立ちます
10 幼馴染の苦悩⑤/D
しおりを挟むフィーが12歳になった日。どうしても伝えたかったことがあった。
お祝いのためにフィーの家に来ていた俺とエルは、フィーを連れ出し、家の近くの丘の上まで足を運んだ。
正直、伝えていいものか悩む。けど、先延ばししていいことでもないし、なにより、フィーに思いを伝えたい。きっと、きっと、フィーならわかってくれる、了承してくれると、信じて。
「こんなこと、まだ12歳のフィーに言うことじゃない、って、わかってはいるけど、でも、言わせてほしい」
「ディー……?」
「フィーのことが、誰よりも大切なんだ。家族よりも誰よりも、大切で仕方ない。ずっと傍にいたい。心から、愛しているんだ」
……ああ。もっと格好つけた言葉をいろいろ考えていたのに。いざ口に出そうとすれば、やはり緊張からか、思っていたことの半分も伝えられなかった。
でもフィーはわかってくれたのかもしれない。ただじっと、潤んだ熱を帯びた瞳で俺を見てくれる。
ああ、フィー。
可愛くて、愛しいフィー。
それ以上の我慢などできるはずもなく、今まで頬にしかしなかったキスを、フィーの唇に落とした。軽く触れるだけのキスだったが、フィーの唇は想像以上に柔らかくて、あたたかかった。
唇を離すと、さっきよりもぼーっとした瞳で俺のことを見るフィー。頬はほんのり色づいている。
今日この告白をしようと思っていたのは俺だけじゃない。エルと二人で決めたことだ。
だから、次はエルの番。
俺より余程口の回るエル。
エルの言葉を聞きながら、少し悔しくなる。俺の言葉より、フィーは聞き入ってるし、エルの想いがよく伝わる。これならエルの、俺達の想いがフィーに届くはず。
だけど、予想外のことをエルがしでかした。
俺は触れるだけだったフィーの唇を、あいつはぺろりと舐めやがった。
その時のフィーの顔!気持ちよさそうにうっとりとしたその表情に、なんとも言えない衝動がこみ上げ、エルが唇を離した直後、フィーの頭を抑え込んで深い口づけをしてしまった。
うっすら開いた唇の隙間から、舌をねじ込み、フィーの舌をべろりと舐める。何度かしていれば、フィーの舌も動き始めた。そのうち、短い切なげな吐息が、フィーから漏れてくる。
ああ、いい。
抵抗されない。応えてくれる。
思う存分フィーの舌を味わい、じとっとこちらを睨みつけてくる視線を感じながら、唇を離した。赤く濡れた唇に目が惹きつけられる。下腹部に熱が溜まってきたのを感じながら、艶めいた表情をするフィーを、しっかり抱きしめた。
「俺たちの気持ち…わかっただろ?」
「え……?……う、ん?」
少しぽやっとした返事だったけど、エルからも、ほっとした雰囲気が伝わってきた。
冒険者になって稼いで、三人で一緒に住むこと。正式な結婚はできないかもしれないけど、事実婚なのだからそれはどうでもいいこと。フィーが傍にいてくれるだけで癒やされるから。だから、その生活を手に入れるために、俺とエルは、18になったら村を出る。
少しの間、フィーの傍から離れるのは、すごく、つらいけど。
「……僕が、成人するのって……、ディーたちが行っちゃってからまだ4年もあるよ……?」
寂しさをにじませて、さっきまでの艶めいた顔は消えてしまった。
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