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上ばかりを狙う転生前

2 田宮咲人の場合②

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 じっとりと濡れた下着に溜息を付きながら、起き上がるのが勿体なくて眠る篤紀の頬を撫でてみた。
 ……柔らかい。もちもちしてて、すごく気持ちいい。
 うっすら開いてる唇が、キスを誘ってるように見えて、心臓がけたたましく鳴り始めた。
 どうしよう。キスしていい?無防備に可愛い寝顔を晒してる篤紀に、キスしちゃっていい?夢とおんなじように乳首に吸い付いてもいい?ペロペロ舐めて噛んでもいい?
 ずくん…って、下半身が熱く重くなった。
 股間をちょっと篤紀に押し付けたとき、篤紀が目を覚ました。

「……っ、え、えっと、あ、篤紀っ、おはよ…!」
「ん……?咲人なにそんなキョドって………あっ」

 僕の勃起した陰茎が自分の股間に当たってるってわかったのか、篤紀の顔がゆでダコのように真っ赤になる。

「っ、そ、そんなのおしつけてないで、さっさと風呂行って来いー…!!」

 ぅわっ、なにこれなにこれ!?篤紀、めっちゃ可愛い!!照れて照れまくってる篤紀が可愛い!!!
 僕は思わずつばを飲み込んでた。
 だって、こんな反応されたら、篤紀も僕のこと好きなんじゃないかって思うよね?

「咲人?」

 ……駄目。落ち着いて、僕。
 都合よく考えちゃだめだ。暴走しちゃう。
 篤紀にとって、僕はきっと、友達以上の存在になってるはず。だから、こんなところで急いでこの関係を壊したくない。

「…うん。お風呂行ってくるね」
「お、おぅ」

 渋々ベッドから起き上がって、着替えを持って部屋を出た。
 慌てるな。
 大丈夫。
 僕は絶対、篤紀を手に入れるんだから。

 風呂場に入ってシャワーを流しっぱなしにする。

「篤紀…っ」

 あの引き締まった、それでも柔らかいお尻の奥に、指を挿れて前立腺をもんだら、可愛い声で喘いでくれるのかな。

『あ、あ、やぁっ、さくと、さくとっ』

 可愛い声で僕のこと呼んでくれるかな。
 ギリギリまで解して広げて、僕のを挿れたら、どんな声で啼いてくれるかな。

「ん……っ、あつ、きっ」

 扱く手が早くなる。
 お尻の中に挿れて、何度もピストンして…、ピンクの可愛い乳首をこねてしゃぶって…、篤紀の射精しそうな陰茎を手の中に握り込んで、イきたいって泣いて懇願するまで腰を打ち付けて――――

「んんんっ」

 たぱたぱと白濁が散った。
 勿体ない。全部篤紀の中に注ぎ込みたい。
 全部、僕のものにしたい。

「篤紀……好き……、好きだよ」

 一度出したくらいじゃ萎えない僕のを、もう一度扱き始めた。
 もちろん、想像の中で篤紀をどろどろに犯しながら。







***************


 何がいけなかったんだろう。
 大事なことをじゃんけんで決めようとしたから、神様が怒ったのかな。

『あつき』

 声が出ない。
 にぎっだ手はどんどん冷たくなる。
 目の前に、頭から血を流してこちらを見つめる篤紀の顔がある。
 さっきまで全身が痛かった。
 けど、もう痛みはない。
 寒くもない。
 熱くもない。

『あつき』

 唇が動いているのかもわからない。
 篤紀の瞳から涙が流れた。
 きっと、僕の目からも。

 それから、2人同時に目を閉じていく。
 握った手のぬくもりは、もう何も感じなかった。


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