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断罪イベントは優雅にど派手に2
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「あなた、王子様だったのね」
わたしはどうでもいいことを言った。いや、どうでもよくない。一応確認しておかないと。
「あ、まあ。そうだな。アウレイル・シュテウン・ディル・ゼートランドっていうのが俺の本名」
「アウレイル様」
そっと呟いてみるけれど、なんだか慣れない。
「いつものようにレイルでいいよ」
「よくないと思いますけど」
「この場合、敬語もいらない」
「それ、今必要な会話です?」
「敬語」
「うっ……」
レイルは通常運転で、わたしのほうが拍子抜け。
「それで、彼女の言っていることは本当?」
「まさか。わたしがそんなことするわけないでしょう。せっかくいろんなしがらみから解き放たれたっていうのに」
わたしは間髪入れずに答えた。
その答えを聞いたレイルがくっと笑い出す。
「分かっているって。犯人が誰なのかはレイアたちが見せてくれたし」
「なによ、もう」
「でも、リジーは優しいからそこにいる女を庇うかもしれないだろう?」
「わたし、さすがにそこまでお人好しじゃあないわよ」
わたしは短くため息を吐いた。
さすがにそこまで聖女にはなれない。
「あ、あなたどうしてリーゼロッテを庇うのよ! しかも、ゼートランドの王子ですって? なにそれ、そんなのありえないっ! だって、そこの女は悪役令嬢なのよ」
わたしたちの会話に焦れたのか、フローレンスがレイルに向かって吠えた。
焦った彼女に冷たい視線を送るレイル。
わたしの知っているレイルとは違う、王太子の顔をしている。
「それは私がここにいるリーゼロッテ嬢が竜の卵を盗んだ犯人ではないと知っているからだ。証拠が欲しいというならば今すぐに見せよう」
彼がそう言うと、庭園の空に光が差した。
魔法の光だ。魔法陣が空中に浮かび上がる。その中から、黄金竜が四頭姿を現す。
えっと、まさかこれって。
「双子が騒いだから一家全員おでましってやつだ」
レイルがわたしにだけ聞こえる声で呟いた。
ああそうだよね。
フェイルとファーナが大人しくお留守番、してるわけないよね。
「よく二人とも双子の同行を許したわね」
「社会勉強というやつだ」
どんな勉強よ、それ。
まさかの黄金竜の登場に会場にいた人間に動揺が走る。
まさか結界が。王宮の結界が破られるとは。黄金竜が四頭も。どうして。
たくさんの声が風に乗って聞こえてくる。
彼らは一斉に立ち上がり、それから黄金竜の家族に視線を奪われる。小心者の人は会場から逃げようとすらしている。
「いや、さすがに人間の王宮に張られた結界を突破するのは骨が折れたよ」
「あら、夫婦で愛の共同作業も素敵だね、とか言っていたのに?」
ミゼルとレイアはいつもの森の中と同じなノリで軽口をたたき合う。
「リジー、助けに来たわよ」
レイアが人の姿になった。
金髪に金目のどこか人間離れした雰囲気を醸し出す、美しい美女に変わったレイアに貴族たちの目が釘付けになる。
ここにいる貴族たちは全員が魔法使い。
魔法を使えるといっても黄金竜に出会ったことがある人はそうもいない。何しろ、黄金竜は竜の領域に住んでいて、滅多に人の前に姿を現さないから。
そんなことお構いなしなレイアは私に向かってぶんぶんと手を振った。
「えっと……」
ここでレイアって名前で呼んでもいいのかな。
このあいだティティは彼女のこと、奥様って言っていたくらいだし。
「黄金竜の奥様、どうしてここに?」
「あらいやだわ。わたくしのことはいつものように、レイアって呼んで頂戴。いいこと、わたくしたちが来たからにはもう安心安全よ。黄金竜を味方につけたあなたは最強だっていうところをここにいる人間たちに見せつけてあげなさい」
あ、自分から名前明かしちゃうんだ。
レイアはにっこりとわたしを見つめてから黄金竜のままのミゼルと頷き合う。
「さあ、人間たちよ。あの日の真実を見せてあげる。この魔法、ちょっと大変なのよ。だから、よぉく見ていなさい」
ふふっといたずらっ子のように笑い、レイアとミゼルは一緒になって竜の言葉を紡ぎ出す。
知らない言葉は歌のようにも聞こえる。
優しい声が空気を震わせる。声に合わせてきらきらと魔法の粒がレイアたちの周り集まっていくのが分かった。
人々は竜の使う魔法に目が離せない。
二人の声は独特の抑揚があり、まるでデュエットのようでもあり、耳に心地いい。
ヴァイオレンツもフローレンスも、彼らを守るように取り囲む兵士たちも、その他大勢の貴族たちもただ、目の前で紡がれる魔法に視線を奪われている。
魔法が水を呼び込む。
大きな薄い楕円の形になった水が映像を映し出す。
映像には黄金竜の姿。背景は暗い洞窟。これはルーンだ。
ルーンが卵を守っているところ。
そこに、人間が二人やってきた。マントを羽織った旅装束の若い男女。
アレックスとフローレンスの二人は魔法の光を手元に持ち、ルーンに攻撃を仕掛ける。アレックスの急襲にルーンが卵を庇う。
―フローラ、卵を!―
ルーンが魔法を繰り出す。
しかし、卵があるせいか、それとも弱っているせいか竜の魔法にしては弱弱しい。
アレックスがルーンの目の前で閃光を放つ。
目元がくらんだルーンの一瞬のスキをついてフローレンスがルーンの懐から竜の卵を取り出して、抱えた。
―先生、とったわ!―
―よくやった。さあ、早く逃げるぞ―
―ええ―
あの日、何が起こったのか。それをしっかりと映し出していた。
鮮明な映像に、声。
フローレンスは目を見開いた。
水はそれからの二人も映し出す。
―これでわたしは竜の乙女になることができるわ―
―気が早いな、フローラは―
―だって、ずぅっと憧れていたんだもの。わたしは精霊からも竜からも、みんなに愛される存在になるの―
森の中。フローレンスとアレックスは走りながら会話をしている。
やがて頭上から魔法の攻撃が迫ってくる。
―しつこいわね―
―森を抜ければアルマン村に入る。そこまでいけばあとは大丈夫だ―
―早く王都へ帰りましょう。早く卵を孵したい。それで、わたしがこの子を育てるの。竜の乙女になるために―
ルーンが追い付いたのだ。二人は魔法をよけつつ、アルマン村へと避難する。
そこで待っていた他の人間たちと合流して二人は別の人間をおとりにして移動魔法を使って王都へと戻ってきた。
映像はそこで終わった。
「さあ、これでもリーゼロッテが真犯人だと言うのかしら?」
レイアが手を挙げると水が散らばる。
ぴしゃんと水が地面に降り立った。水しぶきの一部がこちらにも飛んでくる。
頬にかかったそれを、レイルが指で拭ってくれた。
どうでもいいけど、ちょっと馴れ馴れしいんじゃない?
「あんなの嘘よ! そこの女の陰謀よ!」
フローレンスが叫んだ。
「そうだ。フローラが卵を盗むわけがない」
ヴァイオレンツも追随する。
「竜の魔法が嘘だというの? この魔法はあの日彼女の住む洞窟にいた水たちの記憶と、それからあなたたちが逃げているのを目撃した風の記憶を映したもの。すべてが真実よ」
人間には扱えない魔法だけれどね、とミゼルがレイアの後を引き継いだ。
魔法使いたちの間に動揺が広がる。
自分たちの力では到底及ばない魔法の力の一端を見せつけられたのだ。
「しかし……」
「人間の王の息子よ。いくら愛してる人の言葉とはいえ、すべてを盲信するのはよくないことだ。人を導く立場の人間のすることではない」
ミゼルがヴァイオレンツをやんわりと諫める。
「しかし、心優しいフローラが竜の卵を私欲のために盗むなど……」
ヴァイオレンツが苦しそうに声を出す。
「王子よ、自分の見たものを否定するな」
ミゼルの言葉がヴァイオレンツを突き刺す。
「嘘よ! あんな魔法嘘! 竜の力なんてでたらめよ。どうして、どうして? わたしの世界なのにどうして思い通りにいかないの? わたしはこの世界のヒロインなのよ!」
フローレンスが喚いた。
ミゼルに、レイアに。黄金竜相手でも一歩も引かない。強気な態度というか、開き直りというか。
「わたしは誰からも愛される存在なのに! どうしてそこの悪役令嬢を贔屓するのよ! おかしいじゃないっ」
わたしはどうでもいいことを言った。いや、どうでもよくない。一応確認しておかないと。
「あ、まあ。そうだな。アウレイル・シュテウン・ディル・ゼートランドっていうのが俺の本名」
「アウレイル様」
そっと呟いてみるけれど、なんだか慣れない。
「いつものようにレイルでいいよ」
「よくないと思いますけど」
「この場合、敬語もいらない」
「それ、今必要な会話です?」
「敬語」
「うっ……」
レイルは通常運転で、わたしのほうが拍子抜け。
「それで、彼女の言っていることは本当?」
「まさか。わたしがそんなことするわけないでしょう。せっかくいろんなしがらみから解き放たれたっていうのに」
わたしは間髪入れずに答えた。
その答えを聞いたレイルがくっと笑い出す。
「分かっているって。犯人が誰なのかはレイアたちが見せてくれたし」
「なによ、もう」
「でも、リジーは優しいからそこにいる女を庇うかもしれないだろう?」
「わたし、さすがにそこまでお人好しじゃあないわよ」
わたしは短くため息を吐いた。
さすがにそこまで聖女にはなれない。
「あ、あなたどうしてリーゼロッテを庇うのよ! しかも、ゼートランドの王子ですって? なにそれ、そんなのありえないっ! だって、そこの女は悪役令嬢なのよ」
わたしたちの会話に焦れたのか、フローレンスがレイルに向かって吠えた。
焦った彼女に冷たい視線を送るレイル。
わたしの知っているレイルとは違う、王太子の顔をしている。
「それは私がここにいるリーゼロッテ嬢が竜の卵を盗んだ犯人ではないと知っているからだ。証拠が欲しいというならば今すぐに見せよう」
彼がそう言うと、庭園の空に光が差した。
魔法の光だ。魔法陣が空中に浮かび上がる。その中から、黄金竜が四頭姿を現す。
えっと、まさかこれって。
「双子が騒いだから一家全員おでましってやつだ」
レイルがわたしにだけ聞こえる声で呟いた。
ああそうだよね。
フェイルとファーナが大人しくお留守番、してるわけないよね。
「よく二人とも双子の同行を許したわね」
「社会勉強というやつだ」
どんな勉強よ、それ。
まさかの黄金竜の登場に会場にいた人間に動揺が走る。
まさか結界が。王宮の結界が破られるとは。黄金竜が四頭も。どうして。
たくさんの声が風に乗って聞こえてくる。
彼らは一斉に立ち上がり、それから黄金竜の家族に視線を奪われる。小心者の人は会場から逃げようとすらしている。
「いや、さすがに人間の王宮に張られた結界を突破するのは骨が折れたよ」
「あら、夫婦で愛の共同作業も素敵だね、とか言っていたのに?」
ミゼルとレイアはいつもの森の中と同じなノリで軽口をたたき合う。
「リジー、助けに来たわよ」
レイアが人の姿になった。
金髪に金目のどこか人間離れした雰囲気を醸し出す、美しい美女に変わったレイアに貴族たちの目が釘付けになる。
ここにいる貴族たちは全員が魔法使い。
魔法を使えるといっても黄金竜に出会ったことがある人はそうもいない。何しろ、黄金竜は竜の領域に住んでいて、滅多に人の前に姿を現さないから。
そんなことお構いなしなレイアは私に向かってぶんぶんと手を振った。
「えっと……」
ここでレイアって名前で呼んでもいいのかな。
このあいだティティは彼女のこと、奥様って言っていたくらいだし。
「黄金竜の奥様、どうしてここに?」
「あらいやだわ。わたくしのことはいつものように、レイアって呼んで頂戴。いいこと、わたくしたちが来たからにはもう安心安全よ。黄金竜を味方につけたあなたは最強だっていうところをここにいる人間たちに見せつけてあげなさい」
あ、自分から名前明かしちゃうんだ。
レイアはにっこりとわたしを見つめてから黄金竜のままのミゼルと頷き合う。
「さあ、人間たちよ。あの日の真実を見せてあげる。この魔法、ちょっと大変なのよ。だから、よぉく見ていなさい」
ふふっといたずらっ子のように笑い、レイアとミゼルは一緒になって竜の言葉を紡ぎ出す。
知らない言葉は歌のようにも聞こえる。
優しい声が空気を震わせる。声に合わせてきらきらと魔法の粒がレイアたちの周り集まっていくのが分かった。
人々は竜の使う魔法に目が離せない。
二人の声は独特の抑揚があり、まるでデュエットのようでもあり、耳に心地いい。
ヴァイオレンツもフローレンスも、彼らを守るように取り囲む兵士たちも、その他大勢の貴族たちもただ、目の前で紡がれる魔法に視線を奪われている。
魔法が水を呼び込む。
大きな薄い楕円の形になった水が映像を映し出す。
映像には黄金竜の姿。背景は暗い洞窟。これはルーンだ。
ルーンが卵を守っているところ。
そこに、人間が二人やってきた。マントを羽織った旅装束の若い男女。
アレックスとフローレンスの二人は魔法の光を手元に持ち、ルーンに攻撃を仕掛ける。アレックスの急襲にルーンが卵を庇う。
―フローラ、卵を!―
ルーンが魔法を繰り出す。
しかし、卵があるせいか、それとも弱っているせいか竜の魔法にしては弱弱しい。
アレックスがルーンの目の前で閃光を放つ。
目元がくらんだルーンの一瞬のスキをついてフローレンスがルーンの懐から竜の卵を取り出して、抱えた。
―先生、とったわ!―
―よくやった。さあ、早く逃げるぞ―
―ええ―
あの日、何が起こったのか。それをしっかりと映し出していた。
鮮明な映像に、声。
フローレンスは目を見開いた。
水はそれからの二人も映し出す。
―これでわたしは竜の乙女になることができるわ―
―気が早いな、フローラは―
―だって、ずぅっと憧れていたんだもの。わたしは精霊からも竜からも、みんなに愛される存在になるの―
森の中。フローレンスとアレックスは走りながら会話をしている。
やがて頭上から魔法の攻撃が迫ってくる。
―しつこいわね―
―森を抜ければアルマン村に入る。そこまでいけばあとは大丈夫だ―
―早く王都へ帰りましょう。早く卵を孵したい。それで、わたしがこの子を育てるの。竜の乙女になるために―
ルーンが追い付いたのだ。二人は魔法をよけつつ、アルマン村へと避難する。
そこで待っていた他の人間たちと合流して二人は別の人間をおとりにして移動魔法を使って王都へと戻ってきた。
映像はそこで終わった。
「さあ、これでもリーゼロッテが真犯人だと言うのかしら?」
レイアが手を挙げると水が散らばる。
ぴしゃんと水が地面に降り立った。水しぶきの一部がこちらにも飛んでくる。
頬にかかったそれを、レイルが指で拭ってくれた。
どうでもいいけど、ちょっと馴れ馴れしいんじゃない?
「あんなの嘘よ! そこの女の陰謀よ!」
フローレンスが叫んだ。
「そうだ。フローラが卵を盗むわけがない」
ヴァイオレンツも追随する。
「竜の魔法が嘘だというの? この魔法はあの日彼女の住む洞窟にいた水たちの記憶と、それからあなたたちが逃げているのを目撃した風の記憶を映したもの。すべてが真実よ」
人間には扱えない魔法だけれどね、とミゼルがレイアの後を引き継いだ。
魔法使いたちの間に動揺が広がる。
自分たちの力では到底及ばない魔法の力の一端を見せつけられたのだ。
「しかし……」
「人間の王の息子よ。いくら愛してる人の言葉とはいえ、すべてを盲信するのはよくないことだ。人を導く立場の人間のすることではない」
ミゼルがヴァイオレンツをやんわりと諫める。
「しかし、心優しいフローラが竜の卵を私欲のために盗むなど……」
ヴァイオレンツが苦しそうに声を出す。
「王子よ、自分の見たものを否定するな」
ミゼルの言葉がヴァイオレンツを突き刺す。
「嘘よ! あんな魔法嘘! 竜の力なんてでたらめよ。どうして、どうして? わたしの世界なのにどうして思い通りにいかないの? わたしはこの世界のヒロインなのよ!」
フローレンスが喚いた。
ミゼルに、レイアに。黄金竜相手でも一歩も引かない。強気な態度というか、開き直りというか。
「わたしは誰からも愛される存在なのに! どうしてそこの悪役令嬢を贔屓するのよ! おかしいじゃないっ」
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