5 / 58
状況説明 その3
しおりを挟む
「べつに、わたしとヴァイオレンツ様の婚約は親同士が勝手に決めたことですし。昔は、まあ心をときめかせたこともあったような……気もしなくもないですけど。でも、年取れば馬鹿でも悟ります。あ、この人わたしにまったく興味ないんだなって。そんな人を純粋に想い続けていられるほどわたし純情でもなかったんですよね。ほかに好きな人ができたのならさっさと言ってくれればいいのに」
乙女ゲームに転生したという前世の記憶を取り戻す前のわたしは、そのほかの貴族のご令嬢たちと同じように麗しいヴァイオレンツに淡い恋心を抱いていた。それこそ初恋だった。
この人のお嫁さんになりたい、だなんて小さいころは無邪気に言っていたっけ。
今となっては完全な黒歴史だけどもさ。そうそう、それこそ無邪気に高慢な公爵令嬢をやっていたわ。
記憶を取り戻してからは、徐々に前世の人格が前に出てきたのと、ちょっと一歩引いた視線でこの世界のことを見るようになったし、わたしとヴァイオレンツが結ばれることなんて絶対に無いことがわかっていたから、彼への恋心は散っていった。というか冷めていった。
「きみから結婚の約束を無しにしようとは言わなかったのかい?」
「家と家とのつながりなので、わたしから言っても父に一蹴されるだけです。現にシュリーゼム魔法学園に入学したくないってやんわりと伝えたときはめちゃくちゃ怒られましたし」
ベルヘウム家の現当主、わたしの父は典型的な貴族の人間だ。特権階級の人間であることが誇りのような人間で、彼の根回しによってわたしはシュタインハルツ王国の、未来の国王の婚約者になった。
前世の記憶を思い出したわたしは悪役令嬢幽閉ルート回避のために、そもそもシュリーゼム魔法学園ににゅうがくしなければよいのでは? と思って、動いてみたけれど結果は惨敗。父はめちゃくちゃ怒った。
シュリーゼム魔法学園に入学する、ということがまずシュタインハルツの上流階級でのステイタスだから。
「それで、その元婚約者は新しい恋人と逢瀬を楽しむのにきみのことが邪魔になって、きみに毒を盛ったっていうことかい?」
「いえ、それは違います。殿下はわたしに白亜の塔という魔法使いの牢獄行きを命じたんです」
「白亜の塔?」
黄金竜の夫妻がそろって復唱した。
「白亜の塔というのはシュタインハルツの王都の外れの森に立つ白い塔で。魔法の罪を犯した者が入れられる、魔法使い専用の牢獄です」
罪を犯した魔法使いはその罪の重さによって入れられる牢獄が変わる。
もっとも重い罪を犯した人間は白亜の塔へ送られ、魔力を吸い取る腕輪をはめられる。そして、魔力を根こそぎ奪われる。奪われた魔力は王宮の結界補強のために使われる。
まさに資源の再利用。循環型社会の見本のようなシステム。って、聞こえはいいけど魔力を強制的に奪われた人間は衰弱して死に至る。別名魔法使いの処刑場。
というようなことをわたしは説明した。
「あら、まあ」
夫妻は再び互いに顔を見合わせる。
「それは、酷い」
「だって、あなたはフローレンスという娘(こ)に口頭で注意はしていたけれど、人がうわさをするような怪我をさせたり毒物を仕込んだり、なんてことはしていなかったじゃない」
レィファルメアがわたしのほうを見て断言する。
わたしのほうが逆に驚いた。
「え、だって。みんな信じてくれなかったのに。それに最初あなた達も、どっちが本当のわたしなんだろうって」
わたしにも一応公爵令嬢で、王太子の婚約者という立場があるから、フローレンスが無邪気にヴァイオレンツに接触していたことを、やんわりと注意したことはある。
わたしだってやりたくはなかったけれど、一応ね。立場ってものがあるんですよ。
ああ貴族社会面倒。
「あら、わたくしさっき言ったでしょう。風の精霊に聞いたって。シュリーゼム魔法学園をよく通る風たちがね、フローレンスが他の者たちから同情を引くことができるように、あなたが悪い子だと思われるように振舞っていたことも教えてくれたの」
レィファルメアはぱちんと片目をつむった。
「しかし、全部風の精霊たちが見聞きしたもので、きみ自身の言葉では聞いていなかったから。私たちはきみ自身の人となりが知りたかったんだよ」
「実際に今こうして目の前にいるあなたとお話してみて、わたくしあなたに好感を持っているの。素直でいい子ねって」
レィファルメアの優しい鈴のような声にわたしはちょっと目が潤んでしまう。
いい子って言われるの、嬉しいけど恥ずかしい。
「そ、そうだったんだぁ」
なんだかどっと力が抜けたわたしは、ほぅっと深く息を吐いた。
学園のみんなはわたしのことを全然信じてくれなかった。けれど、目の前の黄金竜たちはきちんと真実を暴いてくれた。
なんだか嬉しかった。
「わたしの言葉はあの学園ではちっとも届かなかったし。もともとヴァイオレンツ様はわたしのことを嫌っていたし。わたし、身に覚えのない罪で白亜の塔へ行くことも嫌だったので必死で考えたんです。それで、思いついたのが死んだふりをしてこっそり国を出て、一人で生きて行こうって。これならだれにも迷惑をかけないかなって」
もとより家族の情なんてほぼない家だったし。
わたしがいなくなってもあの家にはまだ弟がいるから、後継ぎ問題も問題なし。
むしろ、婚約破棄された娘が死んでくれて父は内心ほっとしているかもしれない。
それくらい互いに関心の無い家だった。あるのはベルヘウム家に生まれた誇りだけ。それも選民思想にまみれていたものだったけれど。
「今の話からすると、あの毒はあなた自身で飲んだってことなのね」
「なるほど。きみの決意はわかった」
「毒ではなく仮死状態になる薬です。たしかに、効くかどうかわからないって触れ込みだったから賭けだったけど。死ぬまで魔力を吸いつくされるとかいう未来よりかはましですから」
わたしはふうっと息を吐いて紅茶を飲んだ。
「きみはなかなか頼もしい娘なんだね」
「でも、危険な賭けよ。今後はそういう無茶はしてはだめ。あなたが亡くなったら悲しむ人だっているもの」
「んん~、それは、あまり想像がつかない」
なにしろシュタインハルツでは悪役令嬢だったわけで。人望があるとは思えないし。
「あなたの実家に様子を見に行ってもらったのだけれどね」
「え、誰に?」
「風たちに、よ。お屋敷の使用人たちは複雑そうだったわ。ちゃんとあなたの死を悼んでくれているもの。って、あなたまだ生きているけれど。それに、次にあなたの命に危機が迫ったらわたくしたちが心配をするわ」
「そ、それは……、心配をかけた人たちには悪いと思います。はい」
そっか。わたしのこと気にかけてくれていた人もいたんだ。それは悪いことをした。
リーゼロッテ・ベルヘウムは一応元気でやっています。心配かけてすみません。
わたしは心の中であやまった。
「少し長いお話になってしまったわね。あなたもう一度休んだ方がいいわ。部屋を整えてあるの。案内するわね」
レィファルメアが立ち上がる。
「え、でも長居するのは悪いですし、わたしも早く新しい生活を始めたいのでそろそろお暇します」
わたしは慌てた。
当初の予定では国境を越えている頃だし。いつまでの黄金竜の住まいにいるわけにもいかない。
「あら、だめよ。まだ起きたばかりで体力だって回復しているわけではないでしょう。もう少し体を休めないと」
「そうだよ。人間はちょっと生き急ぎすぎる」
なぜだかミゼルカイデンまでもがわたしのことを引き留める。
ていうか、竜の寿命が人間よりも長いからそういう感覚になるのであって、わたしはいたって普通の時間間隔で生きていますよ。
「ていうか、ここはどこですか?」
乙女ゲームに転生したという前世の記憶を取り戻す前のわたしは、そのほかの貴族のご令嬢たちと同じように麗しいヴァイオレンツに淡い恋心を抱いていた。それこそ初恋だった。
この人のお嫁さんになりたい、だなんて小さいころは無邪気に言っていたっけ。
今となっては完全な黒歴史だけどもさ。そうそう、それこそ無邪気に高慢な公爵令嬢をやっていたわ。
記憶を取り戻してからは、徐々に前世の人格が前に出てきたのと、ちょっと一歩引いた視線でこの世界のことを見るようになったし、わたしとヴァイオレンツが結ばれることなんて絶対に無いことがわかっていたから、彼への恋心は散っていった。というか冷めていった。
「きみから結婚の約束を無しにしようとは言わなかったのかい?」
「家と家とのつながりなので、わたしから言っても父に一蹴されるだけです。現にシュリーゼム魔法学園に入学したくないってやんわりと伝えたときはめちゃくちゃ怒られましたし」
ベルヘウム家の現当主、わたしの父は典型的な貴族の人間だ。特権階級の人間であることが誇りのような人間で、彼の根回しによってわたしはシュタインハルツ王国の、未来の国王の婚約者になった。
前世の記憶を思い出したわたしは悪役令嬢幽閉ルート回避のために、そもそもシュリーゼム魔法学園ににゅうがくしなければよいのでは? と思って、動いてみたけれど結果は惨敗。父はめちゃくちゃ怒った。
シュリーゼム魔法学園に入学する、ということがまずシュタインハルツの上流階級でのステイタスだから。
「それで、その元婚約者は新しい恋人と逢瀬を楽しむのにきみのことが邪魔になって、きみに毒を盛ったっていうことかい?」
「いえ、それは違います。殿下はわたしに白亜の塔という魔法使いの牢獄行きを命じたんです」
「白亜の塔?」
黄金竜の夫妻がそろって復唱した。
「白亜の塔というのはシュタインハルツの王都の外れの森に立つ白い塔で。魔法の罪を犯した者が入れられる、魔法使い専用の牢獄です」
罪を犯した魔法使いはその罪の重さによって入れられる牢獄が変わる。
もっとも重い罪を犯した人間は白亜の塔へ送られ、魔力を吸い取る腕輪をはめられる。そして、魔力を根こそぎ奪われる。奪われた魔力は王宮の結界補強のために使われる。
まさに資源の再利用。循環型社会の見本のようなシステム。って、聞こえはいいけど魔力を強制的に奪われた人間は衰弱して死に至る。別名魔法使いの処刑場。
というようなことをわたしは説明した。
「あら、まあ」
夫妻は再び互いに顔を見合わせる。
「それは、酷い」
「だって、あなたはフローレンスという娘(こ)に口頭で注意はしていたけれど、人がうわさをするような怪我をさせたり毒物を仕込んだり、なんてことはしていなかったじゃない」
レィファルメアがわたしのほうを見て断言する。
わたしのほうが逆に驚いた。
「え、だって。みんな信じてくれなかったのに。それに最初あなた達も、どっちが本当のわたしなんだろうって」
わたしにも一応公爵令嬢で、王太子の婚約者という立場があるから、フローレンスが無邪気にヴァイオレンツに接触していたことを、やんわりと注意したことはある。
わたしだってやりたくはなかったけれど、一応ね。立場ってものがあるんですよ。
ああ貴族社会面倒。
「あら、わたくしさっき言ったでしょう。風の精霊に聞いたって。シュリーゼム魔法学園をよく通る風たちがね、フローレンスが他の者たちから同情を引くことができるように、あなたが悪い子だと思われるように振舞っていたことも教えてくれたの」
レィファルメアはぱちんと片目をつむった。
「しかし、全部風の精霊たちが見聞きしたもので、きみ自身の言葉では聞いていなかったから。私たちはきみ自身の人となりが知りたかったんだよ」
「実際に今こうして目の前にいるあなたとお話してみて、わたくしあなたに好感を持っているの。素直でいい子ねって」
レィファルメアの優しい鈴のような声にわたしはちょっと目が潤んでしまう。
いい子って言われるの、嬉しいけど恥ずかしい。
「そ、そうだったんだぁ」
なんだかどっと力が抜けたわたしは、ほぅっと深く息を吐いた。
学園のみんなはわたしのことを全然信じてくれなかった。けれど、目の前の黄金竜たちはきちんと真実を暴いてくれた。
なんだか嬉しかった。
「わたしの言葉はあの学園ではちっとも届かなかったし。もともとヴァイオレンツ様はわたしのことを嫌っていたし。わたし、身に覚えのない罪で白亜の塔へ行くことも嫌だったので必死で考えたんです。それで、思いついたのが死んだふりをしてこっそり国を出て、一人で生きて行こうって。これならだれにも迷惑をかけないかなって」
もとより家族の情なんてほぼない家だったし。
わたしがいなくなってもあの家にはまだ弟がいるから、後継ぎ問題も問題なし。
むしろ、婚約破棄された娘が死んでくれて父は内心ほっとしているかもしれない。
それくらい互いに関心の無い家だった。あるのはベルヘウム家に生まれた誇りだけ。それも選民思想にまみれていたものだったけれど。
「今の話からすると、あの毒はあなた自身で飲んだってことなのね」
「なるほど。きみの決意はわかった」
「毒ではなく仮死状態になる薬です。たしかに、効くかどうかわからないって触れ込みだったから賭けだったけど。死ぬまで魔力を吸いつくされるとかいう未来よりかはましですから」
わたしはふうっと息を吐いて紅茶を飲んだ。
「きみはなかなか頼もしい娘なんだね」
「でも、危険な賭けよ。今後はそういう無茶はしてはだめ。あなたが亡くなったら悲しむ人だっているもの」
「んん~、それは、あまり想像がつかない」
なにしろシュタインハルツでは悪役令嬢だったわけで。人望があるとは思えないし。
「あなたの実家に様子を見に行ってもらったのだけれどね」
「え、誰に?」
「風たちに、よ。お屋敷の使用人たちは複雑そうだったわ。ちゃんとあなたの死を悼んでくれているもの。って、あなたまだ生きているけれど。それに、次にあなたの命に危機が迫ったらわたくしたちが心配をするわ」
「そ、それは……、心配をかけた人たちには悪いと思います。はい」
そっか。わたしのこと気にかけてくれていた人もいたんだ。それは悪いことをした。
リーゼロッテ・ベルヘウムは一応元気でやっています。心配かけてすみません。
わたしは心の中であやまった。
「少し長いお話になってしまったわね。あなたもう一度休んだ方がいいわ。部屋を整えてあるの。案内するわね」
レィファルメアが立ち上がる。
「え、でも長居するのは悪いですし、わたしも早く新しい生活を始めたいのでそろそろお暇します」
わたしは慌てた。
当初の予定では国境を越えている頃だし。いつまでの黄金竜の住まいにいるわけにもいかない。
「あら、だめよ。まだ起きたばかりで体力だって回復しているわけではないでしょう。もう少し体を休めないと」
「そうだよ。人間はちょっと生き急ぎすぎる」
なぜだかミゼルカイデンまでもがわたしのことを引き留める。
ていうか、竜の寿命が人間よりも長いからそういう感覚になるのであって、わたしはいたって普通の時間間隔で生きていますよ。
「ていうか、ここはどこですか?」
20
お気に入りに追加
281
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢、第四王子と結婚します!
水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします!
小説家になろう様にも、書き起こしております。
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
貴族としては欠陥品悪役令嬢はその世界が乙女ゲームの世界だと気づいていない
白雲八鈴
恋愛
(ショートショートから一話目も含め、加筆しております)
「ヴィネーラエリス・ザッフィーロ公爵令嬢!貴様との婚約は破棄とする!」
私の名前が呼ばれ婚約破棄を言い渡されました。
····あの?そもそもキラキラ王子の婚約者は私ではありませんわ。
しかし、キラキラ王子の後ろに隠れてるピンクの髪の少女は、目が痛くなるほどショッキングピンクですわね。
もしかして、なんたら男爵令嬢と言うのはその少女の事を言っています?私、会ったこともない人のことを言われても困りますわ。
*n番煎じの悪役令嬢モノです?
*誤字脱字はいつもどおりです。見直してはいるものの、すみません。
*不快感を感じられた読者様はそのまま閉じていただくことをお勧めします。
加筆によりR15指定をさせていただきます。
*2022/06/07.大幅に加筆しました。
一話目も加筆をしております。
ですので、一話の文字数がまばらにになっております。
*小説家になろう様で
2022/06/01日間総合13位、日間恋愛異世界転生1位の評価をいただきました。色々あり、その経緯で大幅加筆になっております。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
リリィ=ブランシュはスローライフを満喫したい!~追放された悪役令嬢ですが、なぜか皇太子の胃袋をつかんでしまったようです~
汐埼ゆたか
恋愛
伯爵令嬢に転生したリリィ=ブランシュは第四王子の許嫁だったが、悪女の汚名を着せられて辺境へ追放された。
――というのは表向きの話。
婚約破棄大成功! 追放万歳!!
辺境の地で、前世からの夢だったスローライフに胸躍らせるリリィに、新たな出会いが待っていた。
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
リリィ=ブランシュ・ル・ベルナール(19)
第四王子の元許嫁で転生者。
悪女のうわさを流されて、王都から去る
×
アル(24)
街でリリィを助けてくれたなぞの剣士
三食おやつ付きで臨時護衛を引き受ける
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
「さすが稀代の悪女様だな」
「手玉に取ってもらおうか」
「お手並み拝見だな」
「あのうわさが本物だとしたら、アルはどうしますか?」
**********
※他サイトからの転載。
※表紙はイラストAC様からお借りした画像を加工しております。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
【完結】転生少女の立ち位置は 〜婚約破棄前から始まる、毒舌天使少女の物語〜
白井夢子
恋愛
「真実の愛ゆえの婚約破棄って、所詮浮気クソ野郎ってことじゃない?」
巷で流行ってる真実の愛の物語を、普段から軽くあしらっていた。
そんな私に婚約者が静かに告げる。
「心から愛する女性がいる。真実の愛を知った今、彼女以外との未来など考えられない。
君との婚約破棄をどうか受け入れてほしい」
ーー本当は浮気をしている事は知っていた。
「集めた証拠を突きつけて、みんなの前で浮気を断罪した上で、高らかに婚約破棄を告げるつもりだったのに…断罪の舞台に立つ前に自白して、先に婚約破棄を告げるなんて!浮気野郎の風上にも置けない軟弱下衆男だわ…」
そう呟く私を残念そうに見つめる義弟。
ーー婚約破棄のある転生人生が、必ずしも乙女ゲームの世界とは限らない。
この世界は乙女ゲームなのか否か。
転生少女はどんな役割を持って生まれたのか。
これは転生人生に意味を見出そうとする令嬢と、それを見守る苦労人の義弟の物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる