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第二章 ローレライとロバ耳王子と陰謀と
21、王子だって青春したい
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湖畔の水面が夏の爽やかな風で揺らぐ。
そんな小さな小さなさざなみを見つめながら、持っていた刃の潰れた練習用の剣を隣に置き、故郷の海を想う。
「ふふっ…。湖も良いけど、海に行きたいな」
モアナの海より冷たい湖畔の水に手を浸し、チラリと練習用の剣を見、剣の練習に励む同級生達を見やる。
平民で特待生として入った生徒も、貴族でお坊ちゃんであるケニーも、少しよろつくものの、みんな素振りが出来ている。
その光景にちょっと寂しくなって、居た堪れなくて、自身の剣を持ち上げる。
腕に剣の重さがのし掛かり、プルプルと震える。振り上げようと、無理矢理火事場の馬鹿力を発動させるが、勢い余ってそのまま身体が後ろに持ってかれる。
「危ないっ!」
剣の勢いに負けて、そのまま背後に転けそうになる所を浅黒い肌の手が伸びてきて、支えてくれる。手の持ち主は僕と目が合うとちょっと気まずそうに目を逸らした。
「ありがとう、ルトゥフ」
「……どういたしまして」
目を逸らしつつも受け答えするルトゥフの僕を支えてない方の手には剣が握られている。片手でもプルプルする事のないその僕とそこまで変わらない太さの腕に、「僕と一体何が違う?」と泣きそうになった。
合宿初日。
1限目、北方騎士団による剣の指導。
2年生男子生徒全員参加の授業で、2年から必修として追加された科目。
今まで使っていた木剣から北方騎士団監修の元、今日初めて僕等は鉄の剣を握った。
そして、鉄の剣は僕が思ってた以上に重かった。
「これが…、これが命の重み…」
「…ラニ王子。鋼の剣は細身でもそれよりもっと重いし、もしかしするとレイピアも扱えない可能性が」
何故、鉄の剣はこんなにも重いのか。
木の釣竿なら僕だって、モアナにいた時は毎日振っていたのに何故、鉄の剣は持ち続ける事も叶わないのか。
僕1人だけが素振りする以前の問題で、ただでさえ居た堪れないのに、気まずそうにしてるルトゥフにまで呆れられる始末。
現実を見たくなくて、「良いもん。剣なんて嫌いだもん」と拗ねた事を言って、ワッとしゃがみ込む。
すると隣から「うん。俺も嫌い」と同じく剣の練習を放棄して湖を眺めて座るエリオットから返答が来て、なんとも言えぬ気持ちになる。
「……えっと。彼は」
未だシルビオから受けた心の傷が癒えず、「俺の南方騎士団でのスローライフが…」と心ここに在らずでボヤく、エリオット。
そんなエリオットの存在が無視しきれなかったのか、気まずそうなのにルトゥフが僕に説明を求めてくる。
「今日から僕の護衛に就任した友達のエリオットだよ」
「昇進? …違わい。んなもん求めてないわい。俺は…、俺は学生中はしこたま遊んで、そこそこの給料でタラタラと手を抜きつつ働いて…」
「……彼が本当に護衛?」
「本人が一番そう思ってると思うよ」
「それは…大丈夫なのか? 護衛として」
呆れた目でルトゥフがエリオット見ている。
エリオットは心ここに在らずだったが、はたとルトゥフの声に反応して心をここに戻して振り返る。
ジトッと不機嫌な目でエリオットに見られて、ビクッとルトゥフの肩が揺れる。
「ファルハの王子。シルビオ先輩にラニに近づけんなって言われた、疑惑の王子」
「ッ!?」
「………別に大それた事出来そうには見えないな。よしっ、近づいてヨシ!!」
「…あ、ありがと…う? え、え…??」
とてもユルい僕の新しい護衛は、自身の上司の指示を無視して僕の隣を譲る。
ルトゥフは頭にハテナをいっぱい浮かべながら促されるままに僕とエリオットの間に座る。
エリオットはルトゥフに興味津々で、ルトゥフはそんなエリオットに困惑して、ソッと距離を取ろうとするが、エリオットはぐいぐいくる。
「なー、なー。お前、いっつもボッチでいる所、見っけど、ボッチなん?」
「お、お前…? え、いや、その…」
「エリオット…。そんな言い方はないよ。ボッチなんて言っちゃダメだよ」
「そ、そこ?…いや、まぁ、確かにファルハの王子だと嫌煙されているが」
「やっぱ、ボッチかー」
「何時もひとりなの…、ルトゥフっ!」
「…………」
ズケズケと遠慮なく、ボッチボッチ連呼するエリオットにもうちょっと配慮してあげてと思いつつも、ボッチを肯定するルトゥフの言葉に悲しくなる。
ひとりは寂しい。
それにルトゥフは限界まで一人で抱え込むタイプのようだから心配だ。
スンッと鼻を鳴らして、ソッとルトゥフにくっ付く。
ルトゥフはギョッとした顔でこちらを見たが、エリオットがワシッと肩に腕を回し、労うように肩を叩くのでルトゥフは驚きのあまり後ろに転げ掛けた。
「え…。え?」
「よーし。ルトゥフも今日から友達な!昼メシも一緒だかんな!」
「うんっ。勿論、その後のモップチャンバラも一緒だよね!」
「あたぼーよ! 今度は絶対、学長にぶつけても逃げきんぞ!」
「いや、ぶつけないようにこっそりやろうよ。人が来ないトイレを探そう。ね、ルトゥフも怒られるのは嫌だよね?拳骨は痛いもんね!」
「人が来ないトイレかー。この後、いい場所、探しに別館を探索しよーぜ。ルトゥフ!」
な! とエリオットがルトゥフに笑い掛ける。
ルトゥフはポカンッとしていたが、まるで頭に刷り込むように僕達の言葉を大事そうに反復する。
「友達?」
「うん?僕とルトゥフは元から友達だし。エリオットも今日から友達だよ」
「ご飯も一緒?」
「おー。ルトゥフは俺の隣な! 安心しろよ、今日はシルビオ先輩達4年は別館外での課外授業だから明日の朝まで帰ってこないしな!!」
「おいっ! そこ、サボるな!!」
「「へーい」」
楽しい談笑もここで終わり。
サボってた事が北方騎士のおじさんにバレて僕達は剣の授業に泣く泣く戻った。
剣の授業に戻ってもルトゥフはモップチャンバラに興味津々でエリオットにどんな遊びなのかキラキラした目で聞いてた。
ルトゥフはエリオットに懐いたみたいで、ずっとエリオットの隣から離れなかった。僕が最初に友達になったというのに、ちょっと寂しい。
そして、僕は結局、鉄の剣を振る事は叶わなかった。
騎士のおじさんに「君にはまだ早い」と鉄の剣を取り上げられて、この合宿中、僕だけずっと木剣で授業するハメになったんだ……。
そんな小さな小さなさざなみを見つめながら、持っていた刃の潰れた練習用の剣を隣に置き、故郷の海を想う。
「ふふっ…。湖も良いけど、海に行きたいな」
モアナの海より冷たい湖畔の水に手を浸し、チラリと練習用の剣を見、剣の練習に励む同級生達を見やる。
平民で特待生として入った生徒も、貴族でお坊ちゃんであるケニーも、少しよろつくものの、みんな素振りが出来ている。
その光景にちょっと寂しくなって、居た堪れなくて、自身の剣を持ち上げる。
腕に剣の重さがのし掛かり、プルプルと震える。振り上げようと、無理矢理火事場の馬鹿力を発動させるが、勢い余ってそのまま身体が後ろに持ってかれる。
「危ないっ!」
剣の勢いに負けて、そのまま背後に転けそうになる所を浅黒い肌の手が伸びてきて、支えてくれる。手の持ち主は僕と目が合うとちょっと気まずそうに目を逸らした。
「ありがとう、ルトゥフ」
「……どういたしまして」
目を逸らしつつも受け答えするルトゥフの僕を支えてない方の手には剣が握られている。片手でもプルプルする事のないその僕とそこまで変わらない太さの腕に、「僕と一体何が違う?」と泣きそうになった。
合宿初日。
1限目、北方騎士団による剣の指導。
2年生男子生徒全員参加の授業で、2年から必修として追加された科目。
今まで使っていた木剣から北方騎士団監修の元、今日初めて僕等は鉄の剣を握った。
そして、鉄の剣は僕が思ってた以上に重かった。
「これが…、これが命の重み…」
「…ラニ王子。鋼の剣は細身でもそれよりもっと重いし、もしかしするとレイピアも扱えない可能性が」
何故、鉄の剣はこんなにも重いのか。
木の釣竿なら僕だって、モアナにいた時は毎日振っていたのに何故、鉄の剣は持ち続ける事も叶わないのか。
僕1人だけが素振りする以前の問題で、ただでさえ居た堪れないのに、気まずそうにしてるルトゥフにまで呆れられる始末。
現実を見たくなくて、「良いもん。剣なんて嫌いだもん」と拗ねた事を言って、ワッとしゃがみ込む。
すると隣から「うん。俺も嫌い」と同じく剣の練習を放棄して湖を眺めて座るエリオットから返答が来て、なんとも言えぬ気持ちになる。
「……えっと。彼は」
未だシルビオから受けた心の傷が癒えず、「俺の南方騎士団でのスローライフが…」と心ここに在らずでボヤく、エリオット。
そんなエリオットの存在が無視しきれなかったのか、気まずそうなのにルトゥフが僕に説明を求めてくる。
「今日から僕の護衛に就任した友達のエリオットだよ」
「昇進? …違わい。んなもん求めてないわい。俺は…、俺は学生中はしこたま遊んで、そこそこの給料でタラタラと手を抜きつつ働いて…」
「……彼が本当に護衛?」
「本人が一番そう思ってると思うよ」
「それは…大丈夫なのか? 護衛として」
呆れた目でルトゥフがエリオット見ている。
エリオットは心ここに在らずだったが、はたとルトゥフの声に反応して心をここに戻して振り返る。
ジトッと不機嫌な目でエリオットに見られて、ビクッとルトゥフの肩が揺れる。
「ファルハの王子。シルビオ先輩にラニに近づけんなって言われた、疑惑の王子」
「ッ!?」
「………別に大それた事出来そうには見えないな。よしっ、近づいてヨシ!!」
「…あ、ありがと…う? え、え…??」
とてもユルい僕の新しい護衛は、自身の上司の指示を無視して僕の隣を譲る。
ルトゥフは頭にハテナをいっぱい浮かべながら促されるままに僕とエリオットの間に座る。
エリオットはルトゥフに興味津々で、ルトゥフはそんなエリオットに困惑して、ソッと距離を取ろうとするが、エリオットはぐいぐいくる。
「なー、なー。お前、いっつもボッチでいる所、見っけど、ボッチなん?」
「お、お前…? え、いや、その…」
「エリオット…。そんな言い方はないよ。ボッチなんて言っちゃダメだよ」
「そ、そこ?…いや、まぁ、確かにファルハの王子だと嫌煙されているが」
「やっぱ、ボッチかー」
「何時もひとりなの…、ルトゥフっ!」
「…………」
ズケズケと遠慮なく、ボッチボッチ連呼するエリオットにもうちょっと配慮してあげてと思いつつも、ボッチを肯定するルトゥフの言葉に悲しくなる。
ひとりは寂しい。
それにルトゥフは限界まで一人で抱え込むタイプのようだから心配だ。
スンッと鼻を鳴らして、ソッとルトゥフにくっ付く。
ルトゥフはギョッとした顔でこちらを見たが、エリオットがワシッと肩に腕を回し、労うように肩を叩くのでルトゥフは驚きのあまり後ろに転げ掛けた。
「え…。え?」
「よーし。ルトゥフも今日から友達な!昼メシも一緒だかんな!」
「うんっ。勿論、その後のモップチャンバラも一緒だよね!」
「あたぼーよ! 今度は絶対、学長にぶつけても逃げきんぞ!」
「いや、ぶつけないようにこっそりやろうよ。人が来ないトイレを探そう。ね、ルトゥフも怒られるのは嫌だよね?拳骨は痛いもんね!」
「人が来ないトイレかー。この後、いい場所、探しに別館を探索しよーぜ。ルトゥフ!」
な! とエリオットがルトゥフに笑い掛ける。
ルトゥフはポカンッとしていたが、まるで頭に刷り込むように僕達の言葉を大事そうに反復する。
「友達?」
「うん?僕とルトゥフは元から友達だし。エリオットも今日から友達だよ」
「ご飯も一緒?」
「おー。ルトゥフは俺の隣な! 安心しろよ、今日はシルビオ先輩達4年は別館外での課外授業だから明日の朝まで帰ってこないしな!!」
「おいっ! そこ、サボるな!!」
「「へーい」」
楽しい談笑もここで終わり。
サボってた事が北方騎士のおじさんにバレて僕達は剣の授業に泣く泣く戻った。
剣の授業に戻ってもルトゥフはモップチャンバラに興味津々でエリオットにどんな遊びなのかキラキラした目で聞いてた。
ルトゥフはエリオットに懐いたみたいで、ずっとエリオットの隣から離れなかった。僕が最初に友達になったというのに、ちょっと寂しい。
そして、僕は結局、鉄の剣を振る事は叶わなかった。
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