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空の先に② ◆

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その瞳にはあの青空が映っているように見えた。何処か遠くを、ここにはいない誰かをその瞳は映し、濁っていく。

「……シグリ。」

アンタの所有物ものっす。……僕は何人も手に掛けてきた暗殺者だ。例え、その道でしか生き残る術がなかったとしても僕がしてきた事は立派な人殺しだ。それは決して許される事はなく、何されたってそれは自業自得だ。自業自得なんすよ…。」

自身の指を満遍なく唾で濡らし、シグリが容赦なく自身の中につぷりと指を奥まで挿し入れる。

「乱暴に扱われたって文句言える立場じゃない。本当なら《聖女》暗殺失敗して捕らえられた時点で拷問の後、ギロチンで晒し首っすよ。」

乱暴に中を掻き乱し、唇を噛み締める。
容赦なく噛み締めるものだから傷になっている。

「おいッ。」

その姿はとても痛々しく、堪らず隷属の首輪に自傷するなと命令しようとしたが、シグリはオレを押し倒し、上に跨った。

「僕は暗殺者だ。標的を暗殺する為なら人を騙し、傷付け、命を奪う。目的の為なら非道の限りを尽くす。だから…ッ。」

シグリの手がオレのを掴み、グッと腰を落とす。熱くて狭くキツい、シグリの中を穿ち、くぐもった苦しげな声がシグリの口から漏れる。

裂けてはいなそうだが、身体は痛みに小刻みに震えている。

「シグリ。」

痛みを与えないように慎重に起き上がり、その身体を包むように出来るだけ優しく抱き込むとホトホトと涙を流す。

「これ以上ッ、知りたくない。求めたくない。優しくしないで。」

「……優しくした覚えはないが。」

「何処が…。」

お前は人でなしだ、人間性が欠如しているとは何度も言われた事があるが、優しいなんぞ言われた事はない。

オレは常にオレがしたいようにしてるだけだ。
それの何処が優しいと感じたのか。

首を傾げて考えていると諦めたように溜息をついた。

「……じゃあ、根が優しいんすかね、本当は。少し欲望に忠実過ぎるだけで。」

痛みで汗ばんだ身体をオレの胸に預ける。
ゆっくりとシグリの中から痛まないように抜こうとしたがシグリの中がキュウッとオレのを締め付けて、シグリの手が背にしがみついた。

「おい…。」

「そこは痛みが飛ぶ程、身体で慰めてあげる所っすよ。」

「……明日、ベッドから出られなくても介抱はしないからな。」

「それは酷いっすね。」

酷いと言いながら阿呆は腕の中で汗ばんだ顔でカラカラと無理に笑う。
その笑顔を見ているとチクリと胸が痛み、無性に口付けがしたくなって唇を重ね、ゆっくりと身体を動かした。


オレは魔術以外に興味はない筈だった。
お前をオレの手元に置いたのも遠見の魔術以上の力を持つ琥珀の瞳の研究をする為だった。その瞳を観察出来れば満足だった。

だから何故こんなにも琥珀の瞳があの騎士を映すと腹立たしくなるのか分からない。
だから何故こんなにもシグリがオレから離れていこうとする事を苛立たしく思うのか分からない。
だから何故こんなにも触れたい思ったのか。オレじゃない他人が触れる事に嫌悪感を感じるのか。

オレには分からない。

それは魔術に専念してきた今まで感じた事のない感情で。
それは時に煩わしくて、時にとても満たされた気分になる。



「ぁ……んぁっ…、あ……や、ぁ。」

琥珀の瞳が熱を帯び、静かな部屋の中で甘い声が響く。
ゆさゆさと揺さぶると狭くキツかった中が快楽を拾い始めて甘えるようにキュウキュウとしめてくる。

「ア、ルト…。アルトッ……。」

オレの名を呼ぶ声は甘い。
腕の中で熱に浮かされて少しとろけた表情が堪らなく可愛くて見えて、深く口付けを落とした。

口付けを落とすと快楽を求めるように腰が揺れる。揺れる度に温かくうねるシグリの中にオレのが擦れてとても気持ちがいい。

「あっ…、くッ……。」

中で脈打ち張り詰めていたものが弾けるように溢れ出した。
どろりと溢れ出した精にシグリの中も外もビクビクと身体を震わせて達し、押し寄せた快楽の余韻に浸っていた。

ズルリと中から抜くと飲み込めなかった精がまだヒクヒクと痙攣するソコからコポリッと溢れた。

ボンヤリと琥珀の瞳が天井を仰ぐ。
汗ばんで肌に張り付く赤い髪を梳くように撫でてやるとまた少しだけ涙を流してオレの顔を焼き付けるようにゆっくりと目を閉じた。
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