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「魔力を失ってからの彼女は変わったわ。
 私にも詫びてくれたのよ。
りんごを食べたくらいで、酷いことをしてしまったって…でも、今の自分にはもう魔力がないから、絵の中から出してやることは出来ないって…」

 「そうだったのか…
君にはこちらの様子が見えてたんだね?」

 「そうじゃないわ。
 私に聞こえるのは、私に向けられた言葉だけ。
 姿は見えないけど、声だけが聞こえてたのよ。
あなたが私に話しかけてくれるようになって、私の生活に変化が現れたの。
あなたにプロポーズされて、ものすごくうれしかった…だけどそれだけじゃなかった。子供まで授かった…
夢かと思う程だったわ。
でも、あなたを好きになる度に、私…なんとかして絵の中から出たいと思った。
 子供まで授かったんですもの…もしかしたら、この愛の奇跡で絵から出られるんじゃないかって思ったこともあったけど、それはやっぱり叶わなかった。
だから、私…最後に賭けてみることにしたの。
もしかして、この絵をあなたが焼いてくれたら、呪いが解けるんじゃないかって思って、それであんなことをしたの…」

 「じゃあ、あれは僕を怒らせて絵を焼かせるために…
だったら、あの男は恋人じゃないんだね!?」

 「当たり前じゃない!
あなた以外に、好きな人なんていないわ!」

クララのまっすぐな瞳に、ケヴィンは、安心したように頷きました。



 「でも…もし、それで呪いが解けなかったらどうなってたんだ?」

 「そうね…きっと、もうあなたとは会えなかったと思うわ。
それどころか、私とエリナもどうなっていたことか…」

 「そ、そんな…」

 「でも…私、どうしてもあなたと直に会いたかったの…だから…絶対に出られる…!そう強く願って、怖かったけど迷いは吹っ切ったわ!」

クララは、ケヴィンの両手をそっと握りました。



 「君って人は……」

ケヴィンは、熱い眼差しでじっとクララをみつめました。
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