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「クララ…一体、どういうことなんだ?
 僕に説明してくれないか?」

エリナを寝かしつけ、二人は居間で向き合いました。



 「ケヴィン…実は、私は、遥か昔にナタリーに絵の中に封じ込められてしまったの。」

 「なんだって!?ナタリーさんに?
どういうことだい?」

 「あなたは知らないだろうけど、ナタリーは魔女なのよ。
ある時、その木がナタリーのものとは知らずに、私はりんごをもいで食べた…
そのことで怒ったナタリーに、私は絵の中に閉じ込められたの。」

 「ま、まさか、あのナタリーさんが魔女だなんて…」

ケヴィンは、クララの言うことがすぐには信じられませんでした。
ナタリーはごく普通の人間にしか見えなかったからです。



 「あなたが信じられないのも無理はないわ。
でも、本当のことなの。
ある出来事が元で、彼女は魔力を失った…つまり、今は普通の人間と同じなの。
 魔法も使えなけりゃあ、年を取るのも人間と変わらないのだから。」

 「……本当なのか…あのナタリーさんが魔女だったなんて…」

まだ半信半疑ではありましたが、実際にクララとエリナが火の中から飛び出して来たのをケヴィンは目の当たりにしたのです。
 魔法でなければ、他に説明はつきません。
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