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右の道

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(さようなら、翔……)



翔の葬式は俺が取り仕切った。
急なことながら、シンと葵も駆けつけてくれて、俺達と三人と、同僚の数人で翔を見送った。



(ごめんな、幸……)



迷ったあげく、やはり幸には翔のことは知らせないことにした。



幸には後々恨まれるかもしれない。
だけど、俺にはやはり知らせることは出来なかった。
知らせてしまえば、幸はもう翔を待つことが出来ないから。



もうすぐ、幸の誕生日だ。
その時に、今話題のタイムトリップをプレゼントしようかと考えている。



過去には翔がいる。
この世ではもう二度と会うことが出来ない翔と、タイムトリップでは出会うことが出来るんだ。



(翔…それで良いよな…?)



ふと見上げた青空に、懐かしい翔の歌声が響いたような気がした。



~Fin.

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