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タイムトリップ

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その間も、ずっとあいつのことが頭から離れなかった。
何度も連絡を取りたいと思いながら、やはりどうしても出来なかった。
それに…せっかく離れたっていうのに、俺はまた少しずつあいつの家の方に戻って来て…
いつだってそんな調子だ。
俺は自分のいい加減さや意気地のなさに吐き気がする想いだった。



だが、タイムトリップではそうではなかった。 
俺はやり直せるチャンスをまだなくしてはいなかった。 
あと少しで、俺は… 



「た、頼む!今の続きを…本当にあとほんの少しで良いんだ!」

「残念ですが、72時間という契約ですので。」

「頼む!後生だ!本当にあと少しで俺は…」



しかし、どんなに懇願しても無駄だった。
俺は部屋から追い出された。



心がざわめいていた。 
あと少しだったのに… 
悔しくてたまらない。



タイムトリップでの体験は現実のことではない。 
そんなことはわかっていたが、それでも俺はさっきの続きを体験したかった。 
すべてがうまくいったであろうあの続きを… 



馬鹿馬鹿しい。 
そんなことをしてどうなるっていうんだ?
あれはただの空想…現実ではない都合の良い夢物語だ。
高い金を払って、体験する意味なんてない。 


そうは思うものの、それでも俺はあの続きを体験したかった。
どうしても、その誘惑には勝てなかった。 

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