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タイムトリップ

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「なぜなんだ…!」

俺は、床を力一杯叩いた。



長い追想の間に、MDはもうとっくに演奏を終えていた。 



なんでこんなことになってしまったんだろう… 



今でも変わらず愛しているのに、俺は嫌われるようなことばかりやっている。 



そうだ…いっそ、嫌いになってくれたら良い。 
別れたら、あいつに辛い想いをさせることもないし、俺もこれ以上苦しまずに済む。 



俺から別れを切り出すなんて、とても無理だ。
俺はあいつのことが好きでたまらないんだから…
だから、あいつから別れようって言ってもらえば… 



そんな馬鹿げたことを考えた。 



(俺達は愛し合ってるはずなのに、どうしてうまくいかないんだ…)



苛々した気持ちは募るばかりだった。
その時、がちゃがちゃと鍵を開ける音がした。
俺は、部屋の扉を開けた。



「あ…ごめん。起こしちゃった?」

「まだ寝てないから。」



不機嫌に、俺はそう言った。
本当は優しい言葉をかけてやりたいのに…
もう夜の仕事はやめろって言いたいのに、それが言えない。 



「じゃあ、私…寝るね。おやすみ。」

「あぁ…」



疲れきった表情で…それなのに愛想笑いを浮かべたあいつはそう言って、自分の部屋に入って行った。
今日のあいつとの会話はたったそれだけ…



酷く気が滅入った。



俺は、部屋に戻り、再びヘッドフォンをかけると、音量を目いっぱい上げた。 
ケイジのギターが俺の鼓膜を刺激する。 
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