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 「おはよう!」



 昨夜は風呂にも入らず、部屋に戻るなり眠り込んでしまった。
しかも、起きたのもギリギリだった。
とりあえず、遅刻しなかっただけでもマシってものだ。
 僕は、職場に着き、いつものように皆に挨拶をした。



 (……ん?)



 俺の席に誰かが座っている。



 「あの……」

 「何か?」

 「えっと、そこは…」

 「おい、どうかしたのか?」

 近付いて来たのは、同僚の江川だった。



 「江川…この人が…」

 「あんた…なぜ、俺の名前を知ってるんだ?」

 「えっ?……なぜって…
江川、ふざけてるのか?」

 「ふざけてるのはあんただろう!
さぁ、出て行ってくれ!
 出て行かないなら人を呼ぶぞ!」

 「え…あ、な、何を…!」



 僕は部屋を追い出された。
まるでわけがわからない。
だが、皆の目はとても冷ややかだった。
ふざけているとはとても思えない。



 (一体、どういうことなんだ…!?)



 近くの公園のベンチで、僕は頭を抱えた。
その時、着信音が鳴った。
 電話は友人であり、同僚でもある三島からだった。



 (そういえば…三島…さっきいなかったな…)



 「はい。」

 「あ、中村。今どこなんだ?」

 「どこって、会社の近くの公園だけど…ほら、コンビニの前にある…」

 「会社ってどこの会社だよ。
っていうか、なんでそんなとこにいるんだよ!
 店長、怒ってるぞ!早く来い!」

 「早くって…どこに?」

 「はぁ?おまえ、寝ぼけてるのか?
ローポンに決まってんだろ!
 〇〇町のローポン!」



まただ。今日はおかしなことばかりだ。
 三島の言ってることは、まるで意味が分からなかった。
だけど、こうしてこんな所にいるよりは、まだマシなような気がして…
僕はとりあえず、〇〇町のローポンを目指すことにした。
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