8 / 15
8
しおりを挟む
*
「母さん、開けて!
私、聖子よ!
早く開けて!」
私は、あの人の食事に睡眠薬を混ぜて眠らせ、実家に戻った。
「聖子…!
どうしたの!?
あら?あんた一人?
秋彦さんは一緒じゃないの?」
「いないわ!私一人よ!」
驚く母を中へ押しこみ、私は扉に鍵をかけた。
「聖子……一体、どうしたのよ。」
「母さん…私…私ね……」
今まで誰にも言えず、ずっと我慢していた感情が一気に込み上げ、涙に変わった。
「まぁ、話は中でゆっくり聞くわ。」
母は私も肩を優しく抱いて、居間へ連れて行った。
「聖子…どうしたんだ?」
「お姉ちゃん、どうしたの?
大丈夫?」
もしかしたら今にもあの人が目を覚ましてここにやってくるかもしれない。
早く話したい気持ちで心は焦っているのに涙は止まらないし、両親も希美もあの人には良い印象を持ってるからどんな風に話せば良いのかと戸惑った。
「あのね…か、母さん…私ね…」
「ちょっと待ってね、今、お茶を持ってくるわ。
あ、ちょうどおいしいお菓子もあるのよ。」
「か、母さん……私、な、何もいらない。
ちょっと話があるだけだから…」
呼吸を整えながら、私はそう声をかけた。
「お姉ちゃん、何かあったの?」
「秋彦君と喧嘩でもしたのか?」
二人がいたら話しにくい。
父さんはあの人にとても恩義を感じているし、希美も繊細な子だから、怖がるようなことは言えない。
だから、出来れば母さんにだけ話したかったのに、母さんはなかなか戻って来ない。
「母さん、私……」
痺れをきらして立ち上がった時に、ようやく母が戻って来た。
「はい、お待たせ。
お茶でも飲んで落ちつきなさい。」
そんなことをしている場合じゃない。
こうしてるうちにも、あの人が……
「母さん、私…母さんと二人で話したい事があるの。」
「なんだ、聖子。
父さんには言えないことなのか?」
「ごめんなさい。
今回だけは母さんだけと話させて!」
母さんは父さんに向かって小さく頷き、そして私に向き直った。
「わかったわ。
それじゃあ、お茶を飲んだら…そうね。
そこの公園にでも行きましょうか?」
わざわざ外に出ることもなかったけど、父さん達に立ち聞きされないようにとでも考えてくれたのかと思い、私はそれに頷いた。
ちょっと着替えて来るという母を待って、私達は歩いてすぐの公園に向かった。
「母さん、開けて!
私、聖子よ!
早く開けて!」
私は、あの人の食事に睡眠薬を混ぜて眠らせ、実家に戻った。
「聖子…!
どうしたの!?
あら?あんた一人?
秋彦さんは一緒じゃないの?」
「いないわ!私一人よ!」
驚く母を中へ押しこみ、私は扉に鍵をかけた。
「聖子……一体、どうしたのよ。」
「母さん…私…私ね……」
今まで誰にも言えず、ずっと我慢していた感情が一気に込み上げ、涙に変わった。
「まぁ、話は中でゆっくり聞くわ。」
母は私も肩を優しく抱いて、居間へ連れて行った。
「聖子…どうしたんだ?」
「お姉ちゃん、どうしたの?
大丈夫?」
もしかしたら今にもあの人が目を覚ましてここにやってくるかもしれない。
早く話したい気持ちで心は焦っているのに涙は止まらないし、両親も希美もあの人には良い印象を持ってるからどんな風に話せば良いのかと戸惑った。
「あのね…か、母さん…私ね…」
「ちょっと待ってね、今、お茶を持ってくるわ。
あ、ちょうどおいしいお菓子もあるのよ。」
「か、母さん……私、な、何もいらない。
ちょっと話があるだけだから…」
呼吸を整えながら、私はそう声をかけた。
「お姉ちゃん、何かあったの?」
「秋彦君と喧嘩でもしたのか?」
二人がいたら話しにくい。
父さんはあの人にとても恩義を感じているし、希美も繊細な子だから、怖がるようなことは言えない。
だから、出来れば母さんにだけ話したかったのに、母さんはなかなか戻って来ない。
「母さん、私……」
痺れをきらして立ち上がった時に、ようやく母が戻って来た。
「はい、お待たせ。
お茶でも飲んで落ちつきなさい。」
そんなことをしている場合じゃない。
こうしてるうちにも、あの人が……
「母さん、私…母さんと二人で話したい事があるの。」
「なんだ、聖子。
父さんには言えないことなのか?」
「ごめんなさい。
今回だけは母さんだけと話させて!」
母さんは父さんに向かって小さく頷き、そして私に向き直った。
「わかったわ。
それじゃあ、お茶を飲んだら…そうね。
そこの公園にでも行きましょうか?」
わざわざ外に出ることもなかったけど、父さん達に立ち聞きされないようにとでも考えてくれたのかと思い、私はそれに頷いた。
ちょっと着替えて来るという母を待って、私達は歩いてすぐの公園に向かった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お漏らし・おしがま短編小説集 ~私立朝原女学園の日常~
赤髪命
大衆娯楽
小学校から高校までの一貫校、私立朝原女学園。この学校に集う女の子たちの中にはいろいろな個性を持った女の子がいます。そして、そんな中にはトイレの悩みを持った子たちも多いのです。そんな女の子たちの学校生活を覗いてみましょう。
好きになっちゃったね。
青宮あんず
大衆娯楽
ドラッグストアで働く女の子と、よくおむつを買いに来るオシャレなお姉さんの百合小説。
一ノ瀬水葉
おねしょ癖がある。
おむつを買うのが恥ずかしかったが、京華の対応が優しくて買いやすかったので京華がレジにいる時にしか買わなくなった。
ピアスがたくさんついていたり、目付きが悪く近寄りがたそうだが実際は優しく小心者。かなりネガティブ。
羽月京華
おむつが好き。特に履いてる可愛い人を見るのが。
おむつを買う人が眺めたくてドラッグストアで働き始めた。
見た目は優しげで純粋そうだが中身は変態。
私が百合を書くのはこれで最初で最後になります。
自分のpixivから少しですが加筆して再掲。
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる