上 下
38 / 42

38

しおりを挟む
「うん、確かに感じるよ!
じゃあ、君は本物のローザなんだね?
 夢じゃないんだね?
でも…なぜ?」

 「それは私が聞きたいわ。
あなた、今まで一体どこに行ってたの?」

 「そ、それは…」

アーサーは、すごく真面目に…しかも、少しも嘘を吐くこともなく、自分の身に起こったことを話した。 



 「そう…やっぱり魔女が絡んでたのね…
そうじゃないかと思ってたわ。
ご両親は、あなたが今までに手を出した女の誰かに殺されたんじゃないか?なんておっしゃったけど、私は信じてたわ。
あなたは絶対に生きてるって…」

 「そうか…両親がそんなことを…」

アーサーは苦笑する。



 「でも、君はなぜ?」

 「あなたがいなくなってから、私はずっとあなたを探し続けたわ。
でも、手掛かりさえもみつからなかった。
 時が過ぎるにつれ、みんなが私にあなたのことを諦めろって言うようになったわ。
アーサーはもうきっとこの世にはいない。
 探しても無駄だって…みんなは私のためにそう言ってくれたのかもしれないけれど、とても悲しかった。」

 「ローザ…」

アーサーは、ローザの瞳に溜まった涙を指で優しく拭う。
あまりにもラブラブな雰囲気に、私はまるで映画でも見ているような気分になってしまった。
しおりを挟む

処理中です...