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「じゃあ、デイジー、このお部屋のお掃除をお願いね。」

 「かしこまりました。」

 私は、早速、二階の部屋の掃除を命じられた。
そんな調子で、その日は一日中、あちこちを掃除するだけで終わった。



 *



 (あぁ、疲れた…)



 『良かったわね。雇ってもらえて。』

 部屋で寛いでいると、不意にリアナが現れた。



 「まぁね。とりあえずは第一関門突破って感じよ。」

 『第一関門か…私に出来ることはある?』

 「そうね…今はまだないかな。
また何かあったらお願いするから。
あ、私、当分忙しいから、リアナは適当に時間を潰してて。」

 『……わかった。』

それだけ言い残して、リアナは姿を消した。
きっと、お屋敷の庭か近くの山か森に行ったんだと思う。



なんでもそういうところには、妖精の仲間がいるらしくって、そこでみんなとおしゃべりしたり、歌ったり踊ったり、追いかけっこをして遊んでいるんだとか…
全く気楽なもんだ。
そういえば、以前、リアナに聞いたことがあったっけ。
 私はリアナのことが見えるのに、どうして他の妖精は見えないのか?って。
それは、リアナがあの時、特別必死だったからなんだって。
 私には確かに普通の人よりも、少し敏感なところがあるみたいだけど、それでも普通ならきっとリアナには気付かなかっただろうって。
リアナがあの時、とにかく必死だったから、私にもその声が聞こえて…声が聞こえた時に、私が助けてあげたいって思ったから、そこで二人の波長が合って、それで、私にはリアナの姿が見えるんじゃないかって…まぁ、それはあくまでもリアナの推測なんだけど、その推測は当たってるのかもしれないね。
だって、あれ以来、リアナ以外の妖精の姿が見えたことはないから。
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