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出口に近付くにつれ、あたりは明るくなり、気分もずいぶんと落ち着いた。
 私の持っていたものは、やっぱり箱だった。
 土にまみれて茶色くなってはいるものの、なにやら金属のようなもので作られた箱だ。



 『早く出して!』

 「えっ!?」



おかしい。
 今、箱の中から声が聞こえたような気がした。
でも、そんなはずはない。



 「あの…えっと…」

 『良い?簡単なことよ。リバルバラレラシュリジュラナンザって呪文を三回繰り返すの。
 分かったわね?』

 「えっ?じゅ、呪文?」

 『そうよ、しっかり覚えなさいよ。
リバルバラレラシュリジュラナンザを三回よ!』



 箱の中から声が聞こえるというありえない事態に加えて、呪文という言葉を聞かされ、私は正直とても怖くなっていた。
もしかしたら、私は大変なことに巻き込まれてるのかもしれない。
 呪文なんて唱えて大丈夫なのか?
 様々が想いが心の中で渦を巻く。



 『さぁ、早く言いなさい!』

 「は、はいっ!」



もちろんそんな呪文なんて言いたくなかった。
 言ったら、何か怖いことが起こりそうだったから…
だけど、当時の私はまだ10歳。
 強く言われればついつい流されてしまう年頃だったのだ。



 「え、えっと…リバルバラレラ…シュリジュラナンザ…」

 『もっと大きな声で!』

 「リバルバラレラシュリジュラナンザ!」

 『あと一回!』

 「リバルバラレラシュリジュラナンザ!」

 最後の一回はもはややけくそで、一際大きな声で叫んだ。
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