怖くないホラーSS集

銀色の道

２

「銀色の道は達也の足跡よ…」



それは、僕の気持ちを納得させてくれる答えではなかった。
 彼女が何を言ってるのか、僕には皆目わからない。



 「どこ行ったんだろう？」

きょろきょろしながら、でたらめに歩き出した彼女の後を、なぜだか僕はついていった。
どこか心配な気持ちがあったせいかもしれない…
彼女は、ずっと何かを探すように落ち付かない様子であちらこちらに視線を移す。



 「あの…達也さんって…もしかして、君の彼氏？」

その言葉に女性は不意に立ち止まり、振り返ると嬉しそうに微笑んだ。




 「達也はね…格好良くて頭が良くて、仕事も出来て…そりゃあ最高の男なの…」

 「……そうなんだ。」



またしても、直接的な答えは返って来ず、僕は適当に笑うしかなかった。



 「……でも、達也はちょっと調子に乗り過ぎたんだよね。
 自分でも生き急ぎ過ぎたって言ってたよ。
だから…だから、達也はかたつむりに生まれ変わったんだ。
ゆっくりゆっくり歩いていけるようにって…」



 僕にはその女性の言っている意味がわからなかった。
かたつむりに生まれ変わるって…それじゃあ、その達也って人は…