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第四の依頼

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 「あぁ、うまかった。
ここの料理がもう食べ納めとは、悲しいな…」

 「お客さん達…もしかして、この町を出て行かれるんですか?」

 「そうなんだ。
 明日、発とうと思ってる。」

 「明日……それは残念です。」



 僕達は買い物を済ませ、先日のレストランで昼食を摂った。
この先にあるのは「不思議な町」という町だそうで、ここからは少し離れていると聞いたから、用心のため、必要と思われるものをいつもより多めに買い込んだ。



 「それにしても、皆さん…勇ましくてかっこいいですね!
ここにもごくたまぁに冒険者の方が来られますが、あなた方程、素晴らしい装備を身につけてらっしゃる方は見たことがありません。」

 「まぁ、これは今のところ、最新、最強の装備品だからな。
ほら、見てくれよ、この大剣…!」

そう言いながら、リッチーは大きな剣を鞘から抜いて振り回す。



 「リッチー、危ないからしまって下さい!」

 「当たったりなんかするもんか。
 俺の実力を見くびってもらっちゃ困るな。」

おじさんは小さなため息を吐きながら、みんなの食事代を支払った。



 *



 「さてと、今日はたくさん買い物もしましたし、あと、宿代を払ったらお金はすっからかんになりますが、旅の間はどうせ使える所もありませんから、問題はありません。
 宿に戻ったら、とりあえず荷物の整理をしましょう。」

 「えーーー…
俺、最後に酒場に行きたかったのに……」

 「残念ですが、もうそんなお金はありません。」

おじさんがそう言うと、リッチーは鋭い目つきで僕を睨みつけた。



 「いーさんが悪いんだぞ!
あんな高い服を買うから……
しかも、防御力は今より下がるって……知らねぇからな!強い魔物にやられたって!」

 八つ当たりだ。
 酒場に行けないからって、あんな言い方するなんて……
これだから、若者はいやなんだ。
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