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第四の依頼

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 「おじさん、なんて書いてあるんですか?」

 「一気に三つもなんてすごいじゃないですか。」

 「えっ!三つも?
そ、それで、どんな技なんですか!?」

あぁ、ドキドキする…
どんな技なんだろう?
どんな効果があるんだろう?


 「まずは……『嘘泣き』」

 「え……」



 「嘘泣きです。」

 僕の期待は風に流されるしゃぼん玉みたいに、宙に浮かんでぱちんと弾けた。



 「『嘘泣き』……そうですか、それで二つ目は?」

 「『死んだふり』です。」

 「はぁ…なるほど。」



はいはい、もうわかったよ。
どうせ僕にはそういうしょーもない技しか覚えられないんだ。
リッチーのハリケーンクロスとか、エドガーのスターダストファイアと肩を並べようと思った僕が馬鹿だったんだ。



 「それと……」

 「もういいです。
どうせ、すかしっ屁とかそんなところでしょう?」

 「違いますよ。
 三つ目は今のあなたにしか出来ない大技です。」

 「え…ほ、本当ですか?
 何なんです?
 今の僕にしか出来ない大技って言うのは……」

 「『臭い鎧』です。」

 「……は?」

おじさん…そんなしょーもないことをなぜあなたはそんな真顔で言うんですか?
ちょっと言いにくそうにするとか、あるいは吹き出しそうになるとか出来ないもんですか?


 「この技は、あなたのその臭い鎧の臭いを最大限に増幅し、それで相手を倒すという大技です。」



よくもそんなくだらないことをつらつらと話せるもんだ。



 「残念だけど、この鎧とも今日でおさらばですし、その技は使うことのないまま終わってしまいますね。
 伝説の大技ってことですね。ははははは。」

 僕はこれ以上の空虚な笑いを知らない。
 虚しい…あまりにも虚しいよ……
こんな技なんかいらない!
 絶対、使ってなんかやらないからな!!



 僕は、そのまま冷たくなった朝食を再開した。



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