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第三の依頼

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 「あぁ、すっきりした!
やっぱ、戦うと気分が晴れるな!」



 依頼のない今、なにもしないのももったいないということで、次の日から僕らは魔物を倒すことにした。
それでお金を稼いで、武器や防具を新しくしようってことになったんだ。
レベルアップしたことに加え、リッチーはシンシアさんに騙されてた鬱憤晴らしのせいもあり、さらに、エドガーは、覚えたての魔法をバンバン使って、そりゃあもうものすごい戦いっぷりで……
そんな中、僕だけは特に強くなった感もなく、技か何かを新しく覚えることもなく、いつもと同じようにただ構えるだけで……



(恥ずかしい……)



いや、こんな情けない格好をしてる僕が、今更「恥ずかしい」なんて言ったところで、何の意味もない。
ナナシさんには最後の最後まで「力士さん」と呼ばれていた僕だ。
せめて本当に力士のような力でもあれば、まだ救われただろうけど、僕にはちびっこ相撲の力士程の力さえない。
本当に恥ずかしい……
ナナシさんも、どうして頭の方に食いついてくれなかったんだ。
「力士さん」じゃなくて、せめて「ちゃびんさん」と呼んでくれてたら、僕もこれほどは落ち込まずにすんだだろうに。



 「いーさん…どうかしましたか?
 疲れたのなら、ほら、これを食べて元気を出して下さい。」



おじさんが指さす先には、山積みの甘い蒸しパンがあった。



 「店にあるのを全部買い込んで来たんですよ。
あなたはこれが大好物のようですから……」

 「はは…ありがとうございます……」



 別に、僕は蒸しパンが好きなわけじゃない。
 昨日は、やけくそで食べただけなのに、おじさんはすっかり誤解している。
って、たとえ、これが大好物だとしても、誰がこんなに食べるんだよ!
 僕は大食いチャンピオンじゃないぞ!



 「ほら、遠慮しないで食えよ!」

 「え…う、うん。」


リッチーに背中を叩かれ、僕は仕方なく甘い蒸しパンを頬張った。
なぜだか三人がじーっと僕の様子をみつめてる。
 仕方がないので、僕は作り笑いを浮かべながら、蒸しパンをどんどん口の中に放り込んだ。
それを見て、おじさんは深く頷き、満足そうに微笑んだ。
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