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第三の依頼

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「これはインクをつけずに書けるんですか!?」

 「え…あ、あぁ、そうなんですよ。
ナナシさんはこういうものを研究してる人らしくて。」

なんだかよくわからない言い訳で、僕はその場を取り繕った。
そうだ…そういえば、おじさんはいつもインクにペンをつけて字を書いてる。
 紙だってもっと分厚いざらざらしたものだ。
だからこんなに感動してるんだ。



 「なんとすばらしい…!
しかも、この紙はとても薄くてつるつるしてますね!」

 「使ってみて良いか?」

エドガーが興奮した様子で僕に訊ねる。
 僕は頷いてボールペンをエドガーに手渡した。



 「お……おぉっ!
なんという滑らかな書き心地だ…!」



エドガーはさらさらと文字らしきものを書いて、ひどく興奮していた。
いつもクールな彼が、頬を赤らめ瞳をきらきらさせて……



僕から見れば、特にこれといって気をひかれることのない招き猫グッズは、彼らにとっては宝物みたいだ。
とても大事そうにグッズを手に取り、僕の解説を聞いては深く感心して……



つまらない謝礼だと思ったけど、二人の笑顔を見てたら、なんだか僕も嬉しくなって来た。



 (ナナシさん、ありがとう……)

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