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第三の依頼

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 「……ナナシさん……」



 身体は正直だって、つくづく思う。
 僕ももう若くはないんだ。



ナナシさんと招き猫をみつけたい気持ちは嘘じゃない。
だけど、僕の体力ではちょっと無理だったみたいだ。
 機能性の悪いこの肉襦袢を着て、普段出さないような大きな声を上げて町を走り回ったせいで、やがて僕の毛穴という毛穴から滝のような汗が噴き出して……
足がもつれ、眩暈がしてきて、僕は道の片隅に倒れ込んだ。



こんな所で休んでる場合じゃないってことはわかってる。
でも……本当に動けないんだ。
 汗を吸った肉襦袢は、ずっしりと重くて鉛みたいだ。
いっそ、これを脱ごうか…?
でも、この下は裸だぞ。
それも、リッチーみたいに割れた腹筋なんかひとつもない、ぷよぽぷよの情けない身体だ。
そんなみっともないものを公衆の面前にさらす勇気は僕にはない。



でも、このままでは……




「……あ……」



 迷ってる僕がふと顔を上げると、少し離れた所に変わった服装の男の人がいた。
それは、いかにも真面目そうな紺色のスーツ姿で……



「ナ…ナ…ナナシさーん!!」



 僕は、わずかに残った体力をふり絞るように叫び声を上げ、その場から立ち上がった。
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