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第三の依頼
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(くっそー!あの老人め!
元の世界に戻ったら、ぎったんぎったんにしてやる!)
そんな時、外から足音と話し声が聞こえてきた。
音はだんだん近づいて、そして、部屋の扉が開いて……
「おぉ、いーさん…気が付いたか?」
「あ…みんな……」
そうだった…!
今はまだアイリンさんのショーの最中だったんだ。
「いや~、本当に良かった!
素晴らしかった!」
「アイリンさんのダンスは最高ですね!」
いつも冷静なおじさんまでもが、目を輝かせてそう言う。
「あ…あの、ショーは……」
「さっき終わったよ。」
「え…ええーーーー……」
なんてこった。
僕が気を失って…そして、あの老人と話してる間にアイリンさんのショーは終わってたなんて……
「今から食事に行くんだ。
マックがご馳走してくれるらしくって、外で待ってるから早く行こうぜ。」
「……う、うん。」
立ち上がり、曇った鏡に映った僕の姿をふと見れば……
片方の鼻の穴にちり紙が詰めこまれていた。
(肉襦袢……はげヅラ……ちり紙……)
「は…はは…はははは……」
心の中の憤りを、僕は自嘲めいた笑いで誤魔化すしかなかった。
元の世界に戻ったら、ぎったんぎったんにしてやる!)
そんな時、外から足音と話し声が聞こえてきた。
音はだんだん近づいて、そして、部屋の扉が開いて……
「おぉ、いーさん…気が付いたか?」
「あ…みんな……」
そうだった…!
今はまだアイリンさんのショーの最中だったんだ。
「いや~、本当に良かった!
素晴らしかった!」
「アイリンさんのダンスは最高ですね!」
いつも冷静なおじさんまでもが、目を輝かせてそう言う。
「あ…あの、ショーは……」
「さっき終わったよ。」
「え…ええーーーー……」
なんてこった。
僕が気を失って…そして、あの老人と話してる間にアイリンさんのショーは終わってたなんて……
「今から食事に行くんだ。
マックがご馳走してくれるらしくって、外で待ってるから早く行こうぜ。」
「……う、うん。」
立ち上がり、曇った鏡に映った僕の姿をふと見れば……
片方の鼻の穴にちり紙が詰めこまれていた。
(肉襦袢……はげヅラ……ちり紙……)
「は…はは…はははは……」
心の中の憤りを、僕は自嘲めいた笑いで誤魔化すしかなかった。
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