73 / 192
第一の依頼
9
しおりを挟む
「……どう?これでわかった?」
勝ち誇ったようなエミリーちゃんの言葉に、僕達はただ黙って頷いた。
「……す、すげぇ。
だ、だけど、なんで、おまえ、そんな魔力を持ってるんだ?」
「そんなこと、知らないわ。」
「……あ、もしかしたら……」
アンジュさんの視線が宙をさ迷い、小さな声で呟いた。
「なにか思い当たることでもあるんですか?」
「ええ…エミリーちゃんが元々魔法の素質を持っていたのは事実ですが、この子はとにかく小さな頃からよく森に出掛けてました。
そして、そこで好んで魔力の実を食べていたのです。」
「なるほど……きっとそのせいですね。
小さな頃から魔力の実を食べ続けたことで、エミリーちゃんの魔力はどんどん増幅されていった……」
「じゃ…森からよく聞こえてたあの絶叫は……」
なんてこった。
こんなすごい魔法使いなら、なにも心配して探しに行く事はなかったんだ。
なんせ、苛められてたのは森の魔物の方だったんだから。
その後、僕達は魔力の実を取りに森へ向かった。
エミリーちゃんの姿を見ると、魔物達は血相を変えて逃げて行く。
なんてすごいんだろう…こんなちっちゃい時から、森の魔物達を震え上がらせるなんて…
僕は羨望の眼差しで、エミリーちゃんをじっとみつめた。
「これです。これが魔力の実です。
昔はここら一帯にあったんですが、今は……」
アンジュさんの指差す先にあったのはたった数本の木だった。
実もわずかしかついていない。
他の木は無残にへし折られている。
なんでも、エミリーちゃんは実に手が届かないから、魔法でへし折って採っていたのだという。
「私はてっきり魔物の仕業だと思ってました……」
へし折られた木の前で、アンジュさんはそう言って複雑な表情を浮かべた。
「……この分では再生は望めませんね。
残った木だけでも、なんとか枯らさないようにしなくては……
エミリーちゃん…この木は大切なものですから、もう折ってはいけませんよ。」
「わかってるもん!」
エミリーちゃんは、不機嫌そうにそう答えると、ぷいと顔を背けた。
勝ち誇ったようなエミリーちゃんの言葉に、僕達はただ黙って頷いた。
「……す、すげぇ。
だ、だけど、なんで、おまえ、そんな魔力を持ってるんだ?」
「そんなこと、知らないわ。」
「……あ、もしかしたら……」
アンジュさんの視線が宙をさ迷い、小さな声で呟いた。
「なにか思い当たることでもあるんですか?」
「ええ…エミリーちゃんが元々魔法の素質を持っていたのは事実ですが、この子はとにかく小さな頃からよく森に出掛けてました。
そして、そこで好んで魔力の実を食べていたのです。」
「なるほど……きっとそのせいですね。
小さな頃から魔力の実を食べ続けたことで、エミリーちゃんの魔力はどんどん増幅されていった……」
「じゃ…森からよく聞こえてたあの絶叫は……」
なんてこった。
こんなすごい魔法使いなら、なにも心配して探しに行く事はなかったんだ。
なんせ、苛められてたのは森の魔物の方だったんだから。
その後、僕達は魔力の実を取りに森へ向かった。
エミリーちゃんの姿を見ると、魔物達は血相を変えて逃げて行く。
なんてすごいんだろう…こんなちっちゃい時から、森の魔物達を震え上がらせるなんて…
僕は羨望の眼差しで、エミリーちゃんをじっとみつめた。
「これです。これが魔力の実です。
昔はここら一帯にあったんですが、今は……」
アンジュさんの指差す先にあったのはたった数本の木だった。
実もわずかしかついていない。
他の木は無残にへし折られている。
なんでも、エミリーちゃんは実に手が届かないから、魔法でへし折って採っていたのだという。
「私はてっきり魔物の仕業だと思ってました……」
へし折られた木の前で、アンジュさんはそう言って複雑な表情を浮かべた。
「……この分では再生は望めませんね。
残った木だけでも、なんとか枯らさないようにしなくては……
エミリーちゃん…この木は大切なものですから、もう折ってはいけませんよ。」
「わかってるもん!」
エミリーちゃんは、不機嫌そうにそう答えると、ぷいと顔を背けた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話
束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。
クライヴには想い人がいるという噂があった。
それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。
晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
絞首刑まっしぐらの『醜い悪役令嬢』が『美しい聖女』と呼ばれるようになるまでの24時間
夕景あき
ファンタジー
ガリガリに痩せて肌も髪もボロボロの『醜い悪役令嬢』と呼ばれたオリビアは、ある日婚約者であるトムス王子と義妹のアイラの会話を聞いてしまう。義妹はオリビアが放火犯だとトムス王子に訴え、トムス王子はそれを信じオリビアを明日の卒業パーティーで断罪して婚約破棄するという。
卒業パーティーまで、残り時間は24時間!!
果たしてオリビアは放火犯の冤罪で断罪され絞首刑となる運命から、逃れることが出来るのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる