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第一の依頼

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「なぁ、エミリー…
おまえはどうしてあの森で魔物に襲われなかったんだ?
それにあのガルダンはどうしてあんな風に焦げてたんだ?」

リッチーがそう訊ねると、エミリーちゃんはちっちゃな両手で口元を押さえて、ふふふ…と笑った。



 「あれ、私が焦がしたの!
ガルダンの逃げる時の格好ったら、すっごく面白いんだもん…!」

 「おいおい…相手はガルダンだぞ。
ガルダンにあれだけのダメージを与えるにはどれほどの魔力が必要だと思ってるんだ?」

 「私、魔法使えるもん!」

エミリーちゃんはそう言って、勝気な視線でリッチーを睨み付ける。



 「だからなぁ……」

 「およしなさい、リッチー。
 相手は子供ですよ。」

 「私、魔法使えるもん!!」

 「はいはい、エミリーちゃん、わかってますよ。」

 「子供扱いしないで!
 今、証拠を見せるから、みんな、外に出て!」

エミリーちゃんはすっかり機嫌を悪くしたようで、そのまますたすたと外へ向かって行った。
リッチーは、肩をすくめ決まりの悪い顔をしながらその後を着いて行く。



 「あの子が魔法を使えるのは本当です。
まだよちよち歩きの頃から、魔法が使えたんですよ。」

 「そんな小さな頃から?」

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