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隣町を目指して

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「わぁぁ……」

 初めて町の外に出たことで、僕も皆もその場所に立ち尽してあたりの景色を見渡した。
 広い…とにかく広い…
そう感じたのは、建物がほとんどないせいかもしれない。
 所々にあるのは小さな森のようなものだけ。
そういう状況だから、地図がないけど迷わずに無事に着けるかと心配していた隣町も、どこにあるのかすぐにわかった。
もちろん、舗装なんかはされてないけど、一応、道もあるし、そのずっと先にはこんもりと緑色のかたまった場所が見える。
あれがおそらく最初の依頼の森だと思う。
そのすぐ傍には町らしき場所があるから。
でも、見えてはいるけど、かなり遠いのも事実だ。
そんなことをあれこれ考えていると、背後でなにやら大きな物音がした。



 「あ……!」



 振り返ると、僕らが今しがた出て来たばかりの、町の大きな門が閉ざされていた。
それは当然のこととはいえ、とても不安ことで…
なにがあってももう二度と入れてやらないよって言われてるような気がして、僕は無性に心細い気持ちになった。
 他の三人の心の中も僕と似たようなものらしく、皆、同じように大きな門をじっと見上げてた。



 「……さぁ、皆さん、そろそろ出発しましょう。」

しばらくしてようやくおじさんが口を開いた。



 「なぁ、ロズウェル…あそこが隣町だろ?
どのくらいかかるんだ?」

 「三日はかかるのではないか?」

おじさんへの問いにエドガーが答え、おじさんはそれにゆっくりと頷いた。



 「そうですね。
 多分、そのくらいでしょう。
まぁ、テントや食料もあることですし、無理せずにゆっくり行きましょう。」

そう言って微笑んだおじさんの顔には、どこか無理してる様子があった。
いつも落ちついて見えるけど、やっぱり、おじさんも不安なんだろうな。
なんせ、ここにいる誰にとっても町を出るのは初めてのことだもの。
これから先、生きておしまいの町に辿り着ける確証はないんだもの。
 不安なのも頷ける。



 僕達は、隣町を目指し街道を歩き始めた。
さっきまでの浮かれた気分は、もうすっかりどこかへ消え去っていた。
 誰も、何も話さずにただ前だけを向いて黙々と歩く…
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