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初めての依頼

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 「皆さん、準備は良いですか?
 忘れものはないですね!
で、では、出発しますよ!」

 「お、おーーーーっ!」



 心持ち緊張した感のあるおじさんの言葉に拳を振り上げたのは僕だけだった。
リッチーとエドガーは、黙って頷く。



あれから十日後、僕達はついに出発の日を迎えた。
テントも買って、食料も予定より多めに買い込み、少しだけ残ったお金で、僕は一番安い防具のお鍋のふたを買ってもらって、さらに情け無い格好になってしまった…
だけど、この綿入れの鎧と帽子にはたとえどんなに格好良い武器や防具を持った所で少しも格好良くなんてなるわけないし。
だったら、おなべの蓋でも構うもんか。
 僕の気持ちはもうそのくらいにまで、開き直っていた。



 「では…出発しましょう!」



 振り返って見た僕の家…暮らしてたのはそう長くはないけれど、やっぱり少し寂しい気がした。
だって、多分もう二度とここには帰って来ないんだから。



 (今までどうもありがとう…)



 僕は心の中で、赤い屋根の家にお礼を言った。



 歩きなれた道を門に向かって歩いていると、皆が拍手で僕達を見送ってくれた。
 僕はこんなに格好悪いけど、やっぱりここではヒーローの一員なんだ。
そう思うと、ちょっと誇らしげで…
でも、皆が見てると思うと、またこの装備が恥ずかしくも思えて…
僕は複雑な気持ちを胸に、俯き加減で足を動かした。

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