32 / 192
はじまりのはじまり
8
しおりを挟む
「ロズウェルさん、なにか手伝いましょうか?」
僕は台所のおじさんに声をかけた。
「いえいえ、大丈夫ですよ。
朝食はすぐに出来ますから待ってて下さい。」
おじさんは、野菜のようなものを刻みながらそう答えた。
ふと見ると、かまどには薪かなにかをくべるような穴が開いてて…
そうだよ…この世界にはまだガスもないんだ。
僕はこんなかまどで調理なんてしたことないから使い方もわからないぞ。
いや、ガスがあったってせいぜいスパゲッティを茹でたり、焼き蕎麦をいためたりしかしたことはない。
(僕って、何も出来ない奴…)
こんな所に突っ立ってたって、邪魔になるだけだ。
僕は、軽い自己嫌悪に陥りながらすごすごとその場から離れた。
*
あれから早くも一週間が過ぎた。
結局の所…僕らの生活の面倒はすべておじさんが賄ってくれていると言っても過言ではない。
朝早くから、おじさんは山や川に出掛けては、食べる物を調達してくれた。
それだけではなく、おじさんは近くの農家に手伝いに行って野菜をもらって来たり、町の商店で働いてはそのお金で日用品を買い揃えてくれた。
とはいえ、四人分のものを揃えるのはそう簡単なことではなく、ギリギリの生活だ。
エドガーは一週間経ってもあまり打ち解けることはなく…よくひとりでふらりとでかけたり、部屋にこもってることが多い。
リッチーは相変わらず肉が食べたいだの、酒がのみたいだの、煙草が吸いたいだのそんな愚痴ばかりをこぼしていた。
***
「いーさん、今日も依頼はなさそうだな。」
「……そうですね。」
「私は別に構わないが…」
「…………」
*
「あぁ~!なにか、うまいもの食べたい…!
チェッ!あの時、いーさんを誘ったりなんかしなきゃ良かった……」
「な、なんだよ!
まるで、おいしいものが食べられないのは僕のせいみたいなこと言うなよ!」
「……違うの?」
「………」
気まずい…実に気まずい…
この上なくいやな空気だ。
早く依頼が来てくれないと、このままじゃ、僕はどうにかなってしまいそうだ…
僕は台所のおじさんに声をかけた。
「いえいえ、大丈夫ですよ。
朝食はすぐに出来ますから待ってて下さい。」
おじさんは、野菜のようなものを刻みながらそう答えた。
ふと見ると、かまどには薪かなにかをくべるような穴が開いてて…
そうだよ…この世界にはまだガスもないんだ。
僕はこんなかまどで調理なんてしたことないから使い方もわからないぞ。
いや、ガスがあったってせいぜいスパゲッティを茹でたり、焼き蕎麦をいためたりしかしたことはない。
(僕って、何も出来ない奴…)
こんな所に突っ立ってたって、邪魔になるだけだ。
僕は、軽い自己嫌悪に陥りながらすごすごとその場から離れた。
*
あれから早くも一週間が過ぎた。
結局の所…僕らの生活の面倒はすべておじさんが賄ってくれていると言っても過言ではない。
朝早くから、おじさんは山や川に出掛けては、食べる物を調達してくれた。
それだけではなく、おじさんは近くの農家に手伝いに行って野菜をもらって来たり、町の商店で働いてはそのお金で日用品を買い揃えてくれた。
とはいえ、四人分のものを揃えるのはそう簡単なことではなく、ギリギリの生活だ。
エドガーは一週間経ってもあまり打ち解けることはなく…よくひとりでふらりとでかけたり、部屋にこもってることが多い。
リッチーは相変わらず肉が食べたいだの、酒がのみたいだの、煙草が吸いたいだのそんな愚痴ばかりをこぼしていた。
***
「いーさん、今日も依頼はなさそうだな。」
「……そうですね。」
「私は別に構わないが…」
「…………」
*
「あぁ~!なにか、うまいもの食べたい…!
チェッ!あの時、いーさんを誘ったりなんかしなきゃ良かった……」
「な、なんだよ!
まるで、おいしいものが食べられないのは僕のせいみたいなこと言うなよ!」
「……違うの?」
「………」
気まずい…実に気まずい…
この上なくいやな空気だ。
早く依頼が来てくれないと、このままじゃ、僕はどうにかなってしまいそうだ…
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話
束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。
クライヴには想い人がいるという噂があった。
それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。
晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる