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はじまりのはじまり
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「お待たせしました。
皆さん、お腹がすかれたでしょう?
今日は時間がなかったものでこんなものしかありませんが、明日からは頑張りますから今日はこれで辛抱して下さいね。」
おじさんは、そう言って皆にぺこぺこ頭を下げる。
「魚料理と野菜のスープかぁ…
俺、肉の方が好きなんだよなぁ…」
リッチーは、不満げに魚をフォークでつつきながらそんな文句を言う。
何を贅沢なことを言ってるんだ。
おじさんがいなかったら、今夜は僕達夕食抜きだったんだぞ。
そりゃあ確かに質素な食事だけど、ランプの油もどこからか調達して来てくれたし、おかげで暗闇にもならなくてすんだって言うのに…
(……ん?)
「あの、おじ…じゃない…ロズウェルさん、あなたの魚が……」
そうなんだ。
おじさんの席の前にだけ、野菜のスープしかなかったんだ。
「あ…あぁ、そのことならお気になさらないで下さい。
時間がなくて三匹しか釣れなかったんです。
私は皆さんのように若くはありませんから、そんなにお腹もすきませんし、これで十分なんですよ。」
「でも……」
「ロズウェルがそれで良いって言ってんだから、それで良いじゃないか。」
「リッチーの言う通りです。
さ、さ、どうぞ、冷めないうちに召しあがって下さい。」
にこにこしながら、僕達に食事をすすめるおじさん…
この人、本当に善人なんだな…
僧侶の仲間がほしかったから、こんなおじさんにカードを渡してしまった時は失敗したって思ったけど、この人がいなかったら僕らは生活全般のことにきっとものすごく困ってた筈だ。
リッチーもエドガーも家事なんて全然出来そうにないし、僕だって買い物くらいしか出来ない。
そうだよ…このおじさんがいてくれなきゃ、僕達、依頼が来る前に日干しになってたかもしれないんだ…
(ロズウェルさん……ありがとう……!)
ちょっと申し訳ない気はしたけど、僕は心の中でおじさんにお礼を言って魚料理に手をつけた。
おいしい…!
たいした調味料もないはずなのに、魚の臭みも全然ないしとってもおいしい!
僕はますますこのおじさんを仲間にした事が正解だったと思えて来た。
「お待たせしました。
皆さん、お腹がすかれたでしょう?
今日は時間がなかったものでこんなものしかありませんが、明日からは頑張りますから今日はこれで辛抱して下さいね。」
おじさんは、そう言って皆にぺこぺこ頭を下げる。
「魚料理と野菜のスープかぁ…
俺、肉の方が好きなんだよなぁ…」
リッチーは、不満げに魚をフォークでつつきながらそんな文句を言う。
何を贅沢なことを言ってるんだ。
おじさんがいなかったら、今夜は僕達夕食抜きだったんだぞ。
そりゃあ確かに質素な食事だけど、ランプの油もどこからか調達して来てくれたし、おかげで暗闇にもならなくてすんだって言うのに…
(……ん?)
「あの、おじ…じゃない…ロズウェルさん、あなたの魚が……」
そうなんだ。
おじさんの席の前にだけ、野菜のスープしかなかったんだ。
「あ…あぁ、そのことならお気になさらないで下さい。
時間がなくて三匹しか釣れなかったんです。
私は皆さんのように若くはありませんから、そんなにお腹もすきませんし、これで十分なんですよ。」
「でも……」
「ロズウェルがそれで良いって言ってんだから、それで良いじゃないか。」
「リッチーの言う通りです。
さ、さ、どうぞ、冷めないうちに召しあがって下さい。」
にこにこしながら、僕達に食事をすすめるおじさん…
この人、本当に善人なんだな…
僧侶の仲間がほしかったから、こんなおじさんにカードを渡してしまった時は失敗したって思ったけど、この人がいなかったら僕らは生活全般のことにきっとものすごく困ってた筈だ。
リッチーもエドガーも家事なんて全然出来そうにないし、僕だって買い物くらいしか出来ない。
そうだよ…このおじさんがいてくれなきゃ、僕達、依頼が来る前に日干しになってたかもしれないんだ…
(ロズウェルさん……ありがとう……!)
ちょっと申し訳ない気はしたけど、僕は心の中でおじさんにお礼を言って魚料理に手をつけた。
おいしい…!
たいした調味料もないはずなのに、魚の臭みも全然ないしとってもおいしい!
僕はますますこのおじさんを仲間にした事が正解だったと思えて来た。
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