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side紗羽
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やがて、私は美和を出産した。
祝福してくれたのは、おばあちゃんだけだった。
どうしても産みたかったのかといえば、そうとも言い切れない。
私は、妊娠したことを失敗したと思っていたし、そんなことになってしまった自分の運命を呪ってもいた。
妊娠がもう少しあとだったら…
せめて、高校を卒業してからだったら、隠すこともなかったかもしれない。
私は、大学になったら家を出るつもりだったし、岡本君もそのつもりだったから、一緒に暮らすことだって出来たかもしれない。
そういう状況だったら、両親もこれほど怒ることはなかったと思うし、岡本君と別れることもなかったと思う。
だけど…
いざ、生まれてみると、やはり母性のようなものを強く感じた。
どの赤ちゃんより、美和が一番可愛いと思えたし、美和を授かったことを、もう失敗だったなんて思わなくなっていた。
「美和は、本当にあんたにそっくりだね。」
私もそう思った。
美和のことは、私がひとりで育てるつもりだった。
美和もそのことをわかっていて、私だけに似たんじゃないか…ふと、そんなことを思った。
美和が生まれてしばらくして、両親は離婚した。
ただ、その連絡があっただけで、両親はどちらも美和を見に来ることさえなかった。
私は、子供の世話を祖母に任せ、近くの漁港で働き始めた。
祖母がいてくれて、本当に助かった。
三人の暮らしは、贅沢は出来なくても、とても穏やかで満ち足りていた。
両親との暮らしよりも幸せで…
いつまでも、三人で暮らしたいと思っていた。
祝福してくれたのは、おばあちゃんだけだった。
どうしても産みたかったのかといえば、そうとも言い切れない。
私は、妊娠したことを失敗したと思っていたし、そんなことになってしまった自分の運命を呪ってもいた。
妊娠がもう少しあとだったら…
せめて、高校を卒業してからだったら、隠すこともなかったかもしれない。
私は、大学になったら家を出るつもりだったし、岡本君もそのつもりだったから、一緒に暮らすことだって出来たかもしれない。
そういう状況だったら、両親もこれほど怒ることはなかったと思うし、岡本君と別れることもなかったと思う。
だけど…
いざ、生まれてみると、やはり母性のようなものを強く感じた。
どの赤ちゃんより、美和が一番可愛いと思えたし、美和を授かったことを、もう失敗だったなんて思わなくなっていた。
「美和は、本当にあんたにそっくりだね。」
私もそう思った。
美和のことは、私がひとりで育てるつもりだった。
美和もそのことをわかっていて、私だけに似たんじゃないか…ふと、そんなことを思った。
美和が生まれてしばらくして、両親は離婚した。
ただ、その連絡があっただけで、両親はどちらも美和を見に来ることさえなかった。
私は、子供の世話を祖母に任せ、近くの漁港で働き始めた。
祖母がいてくれて、本当に助かった。
三人の暮らしは、贅沢は出来なくても、とても穏やかで満ち足りていた。
両親との暮らしよりも幸せで…
いつまでも、三人で暮らしたいと思っていた。
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