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閉ざされた過去

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「やだよ、僕、そんなことに興味ないもん。」

「もうっ!あんたったら、どうしてそう往生際が悪いの!?
もう町は目の前よ!
いい加減、観念しなさい!」

まだあどけなさの残る顔をした少女は、腰に手を当て仁王立ちすると、まるで母親のようにきつい口調で少年を叱り付けた。



「……わかったよ…
行けば良いんだろ、行けば…」

少年は渋い顔をしながら、町に向かって歩き出す。



「そうそう。それで良いのよ。
でも、あんた、なんでそんなにマーサに会うのをいやがるの?
あたしがマーサの予約を取るのにどれほど苦労したか知ってるの?」

「なんでって…僕は占いなんて信じないんだよ。
当るかどうかもわからないことにお金を払うなんてそんな馬鹿馬鹿しいこと…」

少年は、俯きながらもごもごと呟く。



「よく言うわ。
見料だって予約だって全部あたしが準備したじゃない。
あんたはただあたしに着いてくれば良いだけ。
なのに、どうしてそんなに……ははぁ~ん、わかったわ!」

そう言うと、少女は少年の顔をのぞきこみ、意味ありげな笑みを浮かべた。




「な、なんなんだよ!」

「……あんた、怖いのね!
占いを信じないなんて言って、本当は結果を聞くのが怖いんでしょう!」

「ぼ、僕はなにもそんなこと!
……そういうジュリーだって、なんでそんなに占いにこだわるんだよ。
いつもはとってもケチなのに、僕の分の見料まで払ってくれるなんてどうしてなんだよ!」

「そ、それは……」



(ディルカのにぶちん!
あたしとあんたが将来結婚出来るかどうか知りたいなんて、言えるわけないじゃない…!)



「……なんだよ。」

「それは、あんたがいつまで経ってもふらふらしてるからでしょう!
あんたの将来がどうなるか心配なの!
あたしは、あんたのお父さんからあんたのことを頼まれてるんだからね!」

「なんだよ。
僕より三つも年下のくせに、まるでおばさんみたいな言い方みたいだな!
そんなんじゃ、嫁の貰い手がないぞ。」

「よ、よくもそんなことを…!
あたしはこれでもけっこうモテるんだから!
あんたがそれを知らないだけよ!」

「……モテる?
ジュリーのことを好きだっていうのは森のたぬきかクマくらいじゃないのか?」

「も、もうーーー!」

頭から湯気を噴き出したジュリーに気付き、ディルカは笑いながら町に向かって駆け出した。
その後を、拳を降りまわしたジュリーが追う。
足の早いジュリーも、ディルカにはまるで追い付けない。
彼は、町一番の俊足なのだから…
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