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「ねぇ、凛子…りょ、遼ちゃんは噂のこと、どう言ってるの?」

 思い切って訊いてみたら、凛子は一瞬戸惑うような表情を見せた。



 「……遼ちゃんは、そんな噂、端から相手にしてないよ。」



 (凛子…どうしてそんな嘘を…?
 遼ちゃんは、うまくいってないってはっきり言ったのに…)



 「そ、そうか。さすがは遼ちゃんだね。
じゃあ、心配することないね。」

あえて、私はそんなことを言ってみた。



 「うん、私達なら大丈夫だから、心配しないで。
あ…そうだ!私、宿題があったんだ。」

 凛子は立ち上がった。
 宿題なんて、嘘に決まってる。
 遼ちゃんのことを話したくないんだ。
 私にはすぐにわかった。



 「あ、そ、そうなんだ。
じゃ、頑張ってね!」

 私も嘘の笑顔を貼り付けて、凛子にそう言った。



 「じゃあね。」

 凛子は、リビングを出て自分の部屋に戻って行った。
 階段を上る足音を聞いているうちに、私は何とも言えない寂しい気持ちを感じていた。



 他の友達には言えなくても、姉の私には話して欲しかった。
 私はそんなにも信頼されてなかったのかと、すごく悲しい気分になった。
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