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「……ちゃん、お姉ちゃんってば!」

 「えっ!?」

 「……どうかしたの?
 私の話、聞いてた?」

 「え…ご、ごめん。
 今、ちょっと、ぼーっとしてた。」

 「もぅ~っ!」

 「ごめん。本当にごめん!」

むくれる凛子に、私は頭を下げた。



 「また本のことでも考えてたんでしょ。」

 「う、うん、まぁね。」

 私は普段からぼーっとすることが多いから、凛子も特に不審には感じなかったみたいでほっとした。



 「とにかく…森本君って、思ってたよりずっと感じの良い人だったよ。
 人は見かけによらないね。
あ、タピオカもおごってくれたよ。」

 「そ、そう…良かったね。」

そうなんだ。
 森本君はいつもおごってくれる。
おごってもらうばっかりなのは悪いから、私が払うって言ったら、「男に恥をかかせないでくれ。」って言われて…
実は、その時、ちょっと格好良いなって思ったんだ。



クラスでも一匹狼で、口数も少なくて…
でも、いざという時は頼りになるっていうか…
今時珍しい男気のある人なんだよね。



 「あ、それでね。帰りがけに『今日は付き合ってくれてありがとう!』って言ってくれたんだ。
 遼君のことで落ち込んでた私の方こそ、ありがとうなのにね。
 感じ良い人だよね。」

そうそう。
 森本君はいつもそんなことを言うんだ。
 凛子の言う通り、こっちこそありがとうなのに…
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