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「……わかってるわ。
そりゃあ心配よね…
あなたは鏡の中の世界を知らないんだし、それにもし私が戻って来なかったら…って、そう考えたんでしょう?
でも、優香…よく考えてみて。
私はあなたの一部なのよ。
そんな私があなたを裏切るなんてことがあると思う?
あなたは私のことが信じられない?
自分自身が信じられないの?」
「そ、そんなことはないわ。
私は人を裏切ったりしない。
だから、あなたも私を裏切ることなんてきっとない。
ただ…あなたの言う通り、私は鏡の世界を知らない。
だから少し怖いの。」
その言葉にはちょっとした見栄もこもっていたと思う。
確かに私は人を裏切るようなことはしないけど、それでもやはり絶対に大丈夫だとは言いきれなかった。
「大丈夫。
ただ、映る範囲にしか動けないだけで、不便なことなんて何もないわ。
あなたが鏡に映ってない時は、なんだって自由に動けるのよ。」
「で…でも、食事やお風呂や…」
「そういうことは実体がちゃんとやってれば、鏡像が自らしなくても大丈夫なの。
そうだ…この部屋は灯りとテレビをつけっぱなしにしとくわ!
そしたら寂しくないでしょう?」
鏡像の私はとても押しが強くて、私に拒否することは出来ないように思えた。
「優香…お願いだから私を信じて!
私、あなたのために何かしてあげたいの。
あなたは私にとってかけがえのない人だもの!
今後のことを考えても、麻美にははっきり言っといた方が良いと思うし…なにより、あなた……本当はトシのことが好きなんでしょう?」
「それは……」
「だったら私に任せて!
そんなに長い時間はかからない!
必ず、良い状況に変えてみせるから!」
鏡の中の私の瞳は自信に満ち溢れ、きらきらと輝いていた。
私は最近、こんな表情をしたことがあっただろうか?
私は、いつの間にか鏡の中の私に憧れのようなものを感じていた。
「……わかったわ。
あなたを信じる…」
「ありがとう!優香!」
そりゃあ心配よね…
あなたは鏡の中の世界を知らないんだし、それにもし私が戻って来なかったら…って、そう考えたんでしょう?
でも、優香…よく考えてみて。
私はあなたの一部なのよ。
そんな私があなたを裏切るなんてことがあると思う?
あなたは私のことが信じられない?
自分自身が信じられないの?」
「そ、そんなことはないわ。
私は人を裏切ったりしない。
だから、あなたも私を裏切ることなんてきっとない。
ただ…あなたの言う通り、私は鏡の世界を知らない。
だから少し怖いの。」
その言葉にはちょっとした見栄もこもっていたと思う。
確かに私は人を裏切るようなことはしないけど、それでもやはり絶対に大丈夫だとは言いきれなかった。
「大丈夫。
ただ、映る範囲にしか動けないだけで、不便なことなんて何もないわ。
あなたが鏡に映ってない時は、なんだって自由に動けるのよ。」
「で…でも、食事やお風呂や…」
「そういうことは実体がちゃんとやってれば、鏡像が自らしなくても大丈夫なの。
そうだ…この部屋は灯りとテレビをつけっぱなしにしとくわ!
そしたら寂しくないでしょう?」
鏡像の私はとても押しが強くて、私に拒否することは出来ないように思えた。
「優香…お願いだから私を信じて!
私、あなたのために何かしてあげたいの。
あなたは私にとってかけがえのない人だもの!
今後のことを考えても、麻美にははっきり言っといた方が良いと思うし…なにより、あなた……本当はトシのことが好きなんでしょう?」
「それは……」
「だったら私に任せて!
そんなに長い時間はかからない!
必ず、良い状況に変えてみせるから!」
鏡の中の私の瞳は自信に満ち溢れ、きらきらと輝いていた。
私は最近、こんな表情をしたことがあっただろうか?
私は、いつの間にか鏡の中の私に憧れのようなものを感じていた。
「……わかったわ。
あなたを信じる…」
「ありがとう!優香!」
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