鏡

６

「あんたはそうは思ってなくても、私から見てもあんたは十分お嬢さん育ちだと思うよ。
だけど、あんたはそういうことを鼻にかけるような子じゃないってこともわかってる。
 麻美も本当のあんたを知ればきっとつまらない意地悪なんてしないんだろうけど、とにかく、あんたのことが何から何まで気に入らないみたいだから、まともに話をすることもきっと出来ないだろうね。
 生理的にだめって所まで来てるのかも…
だけど、あんたももう少し毅然とした態度でいなきゃ駄目よ。
あんたが悪いわけじゃないんだし、理不尽なことをされたら、ちゃんと怒らなきゃ！はっきり言わなきゃ！
なんでもかんでもへらへらしてちゃだめよ！」

 「そんな…私…へらへらだなんて……」

 恭子の話は、思いがけずショックなものだった。
 私が麻美にいじめられていることを恭子に知られていたことも、私が周りからそんな風に思われていることも自分ではまるで気付いていなかったから。



 恭子は、麻美が私からトシを奪い取ろうとしていることは間違いないと言い切った。
トシのことなんてなんとも思ってないのに、ただ私へのいやがらせのためにそんなことをしようとしているのだと…
それらしき現場を見ていてもなお、私には今一つ信じられなかった。
 嫌がらせのためだけにそこまでしてしまうなんて、本当にそんなこと出来るんだろうか…？



だけど、私のそんな考えは甘かったのだと、すぐに思い知らされた。