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労働

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「やった!」



ついに一週間の水汲みが終わった。 
すべての樽が、口まで一杯になっている。 



「イザベラさん、今日も全部終わりました。」

「ご苦労だったね。」

約束の一週間が無事済んだせいか、俺達の頑張りを認めてくれたのか…イザベラはやけに優しく、機嫌が良かった。



「さぁ、これをお飲み。」

夕飯の時、俺達の前にグラスが差し出された。
薄い琥珀色をした酒が入っている。 



「いただきます。」

バーバラの話によると、イザベラの造る酒はあまりうまくないらしい。
でも、まずいなんて言えるはずはない。
ここはお世辞でうまいと言うしかないか。



あれっ? 



まずい酒を予想していたが、意外にもけっこうイケる味だった。 



「どうだい?」

「はい。おいしいです。」

「正直に言っとくれよ。お世辞はいらないからね。」

「お世辞なんかじゃありません。
本当においしいです。」

「そうかい。そりゃあ良かった。」

イザベラは、とても満足したような顔で頷いた。 



「実はね…今回はユリウスにアドバイスをしてもらったんだ。
それで、材料の配合を変えてみた。
そしたら、ずいぶんと味が変わってね。」

イザベラはユリウスの方を見て、微笑んだ。



「そうだったんですか。」

なるほど。
ユリウスは、酒造りの材料の相談に乗ってやってたのか。
だから、毎晩、一緒に酒を飲んでたんだな。
そう考えたら、今までの不満も少し和らいだ。







「おはようございます。
すみません…遅くなって…」

一週間が済んだことで気が抜けたのか、俺は少し寝過ごしてしまった。 
三人はもう食卓について食事をしていた。 
俺が席に着くと、アランが給仕をしてくれた。
起きるのが遅いと、ユリウスにいやみを言われるかと思ったが、不思議と何も言われなかった。



「あんた達、一週間、本当に良く働いてくれたね。」

イザベラの声は昨夜同様とても優しい。



「いえ、そんな…」 

「うちの弟子よりもよく働いてくれたよ。」

イザベラは本当に機嫌が良さそうだ。



「さて、と…」

俺が朝食を食べ終わる少し前に、イザベラが席を立った。 



イザベラが戻ってきた時、 片手には鳥籠を持っており、その中にはアレクシスがいた。



「アレクシス!」

「約束通り、この子はあんたのもんだ。」

「ありがとう。感謝する。」

ユリウスは本当に嬉しそうだ。 
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