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フクロウじいさん
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「気を付けていこう。」
俺は、アランの前に立ち、先を歩いた。
廊下の先を曲がると、また廊下になっていた。
この廊下にももちろんなんらかの仕掛けがあるだろう。
慎重に…慎重に……
「あっ!!」
足元に違和感を感じたのと、床がぽっかりと口を開けたのは同時のことだった。
俺は咄嗟に身を引き、なんとかそれでバランスを取った。
「どうした?」
「危ない!」
アランの身体をぐいと引き寄せた。
あと一歩前に進んだら、穴に落ちるところだった。
俺は、穴の中を照らし出した。
そこには、深い穴が開き、竹串に貫かれた躯があった。
「うわぁ…なんてこった!」
アランは、穴から目を背けた。
ここは本当に仕掛けだらけの城だ。
下手したら、本当に生きては帰れない。
「ステファニー…引き返そう。
やっぱりここは危険だ。」
「ここまで来て、引き返せるわけなんてないだろう。
私は…」
話していると、ゆっくりと床が持ち上がり元通りの廊下に戻った。
「プリンセス・ルビーは残念だが、これから俺がなんらかのお宝を…いや、まっとうに働いて金を貯めて、指輪でも何でも買ってやるから…」
「私のほしいのはプリンセス・ルビーだ。」
「だから…それは無理だって言っただろ?」
「なら良い。
私は自分でプリンセス・ルビーをみつける。」
もう落ちないだろうとは思ったが、念のため、出来るだけ端っこを通って俺は先に進んだ。
幸い、床は何事もなかった。
「ま、待てよ…ステファニー…」
アランが走りながら俺の後を着いて来た。
俺は後ろも振り返らずに、そのままどんどん進んで行った。
しばらく進むと、また曲がり角になっていた。
どうせここでもなにかが起きるだろう。
そんなことはわかっていたが、それでもやめるつもりなんてさらさらなかった。
「ステファニー…本当に行くのか?」
アランはか細い声でつぶやいた。
「当たり前だ。」
俺には迷いなんてない。
足元…天井…壁…そして音…
細心の注意を払い、そろりそろりと先に進んだ。
その時、壁側からおかしな音がした。
ふと見ると、壁に棘のようなものがびっしりと出現していた。
それが意味するものは…
「アラン、走れ!
全速力で走るんだ!」
「えっ!?」
俺のカンは当たっていた。
重苦しい音とともに、両側の壁が迫って来る。
つまり、この棘の壁で両側から人間を刺し殺そうというわけだ。
この廊下に限って、さっきよりも長さが長い。
俺は息が切れ、心臓が飛び出しそうになりながら、長い廊下を走り抜けた。
俺は、アランの前に立ち、先を歩いた。
廊下の先を曲がると、また廊下になっていた。
この廊下にももちろんなんらかの仕掛けがあるだろう。
慎重に…慎重に……
「あっ!!」
足元に違和感を感じたのと、床がぽっかりと口を開けたのは同時のことだった。
俺は咄嗟に身を引き、なんとかそれでバランスを取った。
「どうした?」
「危ない!」
アランの身体をぐいと引き寄せた。
あと一歩前に進んだら、穴に落ちるところだった。
俺は、穴の中を照らし出した。
そこには、深い穴が開き、竹串に貫かれた躯があった。
「うわぁ…なんてこった!」
アランは、穴から目を背けた。
ここは本当に仕掛けだらけの城だ。
下手したら、本当に生きては帰れない。
「ステファニー…引き返そう。
やっぱりここは危険だ。」
「ここまで来て、引き返せるわけなんてないだろう。
私は…」
話していると、ゆっくりと床が持ち上がり元通りの廊下に戻った。
「プリンセス・ルビーは残念だが、これから俺がなんらかのお宝を…いや、まっとうに働いて金を貯めて、指輪でも何でも買ってやるから…」
「私のほしいのはプリンセス・ルビーだ。」
「だから…それは無理だって言っただろ?」
「なら良い。
私は自分でプリンセス・ルビーをみつける。」
もう落ちないだろうとは思ったが、念のため、出来るだけ端っこを通って俺は先に進んだ。
幸い、床は何事もなかった。
「ま、待てよ…ステファニー…」
アランが走りながら俺の後を着いて来た。
俺は後ろも振り返らずに、そのままどんどん進んで行った。
しばらく進むと、また曲がり角になっていた。
どうせここでもなにかが起きるだろう。
そんなことはわかっていたが、それでもやめるつもりなんてさらさらなかった。
「ステファニー…本当に行くのか?」
アランはか細い声でつぶやいた。
「当たり前だ。」
俺には迷いなんてない。
足元…天井…壁…そして音…
細心の注意を払い、そろりそろりと先に進んだ。
その時、壁側からおかしな音がした。
ふと見ると、壁に棘のようなものがびっしりと出現していた。
それが意味するものは…
「アラン、走れ!
全速力で走るんだ!」
「えっ!?」
俺のカンは当たっていた。
重苦しい音とともに、両側の壁が迫って来る。
つまり、この棘の壁で両側から人間を刺し殺そうというわけだ。
この廊下に限って、さっきよりも長さが長い。
俺は息が切れ、心臓が飛び出しそうになりながら、長い廊下を走り抜けた。
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