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フクロウじいさん

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「……崖に穴が開いてたのか?」

「あぁ、そうだ。」

男達の顔からは急に笑顔が消え、小声でなにかを囁きあっていた。 



「中は迷路みたいになってたんだな?」

「あぁ…」

おそらく、奴等は気付いたんだ。 
俺の話が「ありの巣」と符号することに… 



「あーーーっ!」



アランがいきなり大きな声を出し、みんなの視線がアランに集まった。 



「なんだよ、急に…」

「ステファニー!もしかしたら、あの崖の穴…あれはありの巣だったんじゃないだろうか!?」

アランの奴…今頃気付いたのか… 
俺は、曖昧な笑みを浮かべることしか出来なかった。



「あんたも、ありの巣の噂は知ってたのか?」

「もちろんだ。
だけど、今まで気付かなかった…」

「それで、そこではお宝はみつからなかったのか?」

「そうなんだ。
俺達は、とにかく先に進める道を探すことだけに必死で、お宝のことなんて頭の片隅にも浮かばなかった。
なんせ、あそこがありの巣だなんて、気付かなかったんだから…
畜生!こんなことなら、もっとしっかり探すんだった!」

「きっと、違う穴にあったのかもしれないな。
私達が見た限りではお宝なんてなかったし、なんせ、崖にはたくさんの穴が開いてたから。」

そんなことを話してるうちに、俺はぼんやりと考えた。 
あの穴にお宝を隠したのは、もしかしたら、魔女だったのではないかと。 
あんな場所に普通の人間はなかなか行けないし、そもそもあのありの巣みたいな迷路の洞窟も魔女が作ったのかもしれない。 
さらに、森自体にも術をかけて… 



そこまでするからには、あの牙みたいなものは相当な価値のあるものだ。
だとしたら、俺は損をしたのかもしれない。
魔法の網とくすんだ宝石くらいではとても同等とは言えないようなものだったのかもしれないな。 



「なぁ、その崖のこと、もう少し詳しく教えてくれよ。」

トレジャー・ハンターはようやく俺達の話を信じたようで、途端に話に食いついてきた。 
行ってみるつもりになったのかもしれない。



「崖のやや左寄りの上から五番目の穴が地上に繋がる穴だ。
ここが崖っぷちだとしたら、このあたりの穴だ。」

俺は、記憶を辿りながら、テーブルを指でなぞって説明した。 
ありの巣のお宝は俺がもういただいた。 
こんな情報はもう貴重でもなんでもない。 



アランも森のことをあれこれと話して聞かせた。
男達は真剣に話に聞き入っていた。 
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