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魔女、再び

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「さぁ、出発だ。」

次の日の早朝、俺達は北を目指して歩き始めた。
しばらく歩くと、細い街道に出た。
地図を見たところ、この先には小さな町があるようだ。



「町に行ったら、必要なものを揃えておかねばならんな。」

本当に厚かましい奴だ。
これまでの路銀も俺が全部出してるっていうのに、少しの遠慮もない…
今までに集めたお宝があったから、それを売ってどうにかなってるものの、これは本当は俺とエリーズのために使うはずだった金なんだぞ。
家を買ったり、二人の将来のために使うつもりの大切な金なんだから。



「今夜の宿はあそこにしよう。」

俺達は、町に入り最初に目についた宿屋に向かった。



「あぁ、ひさしぶりのベッドだ!…一体、何年ぶりだろう…」

アランは宿屋に入るなり、寝台にごろりと横になった。
何年もの間、森の中で過ごしていたアランにとっては、こんなことさえも本当に夢みたいなことなんだろう。



食堂で食べるありきたりの料理にも、アランは、感激しっぱなしだった。
その気持ちは確かによくわかる。
アランは、何年もの間、ろくなものを食べてなかったんだから。



思い切った判断だったが、あの崖を下りたことは今となっては正解だったのかもしれない。
そうでなければ、俺達は、あの森を抜け出せたかどうかわからないのだから。



「さて…それじゃあ…そろそろ休むとするか。」

「俺…じゃない、私…
今夜は少し出かけてくる…わ。」

「出かけるって…こんな時間から一体どこに行くんだ?」

「酒場だ。」

「酒場?あんた、酒が好きなのか?」

「好きってわけじゃないが…嫌いでもない。
今夜はなんとなく飲みたい気分なんだ。」

ひさしぶりの町だったせいか、俺も少し気分が高揚していたようだ。




「だったら…俺も行くよ。」

「いいよ、私一人で行くから…」

「なに言ってるんだ。
あんたみたいな別嬪が、酒場に行ったら、どんな奴が言い寄って来るかわからない。
心配だから、俺も行くよ。」

煩わしいと思ったが、アランは引くことはなく、結局、俺に着いてきた。


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