めぐり逢い～遥かなる時の彼方で

４２

「ジュリアン…もう一度よく顔を見せて。」

 彼女はそう言って僕を見つめ、やがて僕の胸に顔を埋めた。
 僕は、彼女をそっと抱き寄せた。



 「アンナ…馬鹿なことを聞くけど…君は本当にアンナなのかい？」

 「ええそうよ、あなた、私の顔を忘れたとでも言うの？」

 「だって、あれから４００年も経ってるからね。」

 「え…？」

 僕の冗談に、アンナは戸惑った表情を浮かべた。



 「ごめん…つまらない冗談を言ってしまった。
ただ…今でも信じられないんだ、今、君がここにいることが…アンナ…なぜ、君はここにいるんだ？」

 僕の問いかけに、アンナはじっと僕をみつめ、その青い瞳から熱い涙が溢れだした。



 「私…ベルナールを殺したの…」

 「えっ！？」

 「だから、コールドスリープの刑を受けた。」



アンナが、ベルナールを殺した…？
それはあまりにも衝撃的な話で、僕はどう理解したら良いのかわからなかった。



 「私ね…眠る前に神様に祈ったのよ。
あなたに会いたいって。
たとえ夢でも良いからあなたに会いたいって…それがまさか本当に会えるなんて…」

そう言って、アンナは僕を再びじっとみつめた。



 『ベルナールを殺した…』



いとも簡単に彼女はそんなことを口にしたけど、僕にはとてもそんなことは信じられなかった。
 彼女は人を殺すような人ではない。
とても、誠実で真面目で優しい女性だったのだから…