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「畜生!どうなってやがるんだ!!」
階段を上る…
そんな単純なことが、これほどまでに堪えることだとは思ってもいなかった。
各自、水と食料を持ち、弱った体で黙々と階段を上って行く…
しかし、頂上はどれほど上ってもまるで近付く様子がない。
そのことが酷く気分を滅入らせてくれた。
それだけじゃない。
僕達の上の階は、ほぼすべてが土砂に埋め尽くされていた。
声をかけてみたが、どこからも物音一つしなかった。
おそらくその階の看守は二人とも死んだのだろう。
囚人たちがどうなっているのかは、冷たいようだが確認はしなかった。
あの様子ではきっとほとんどが死んだのではないかと思えた。
二階層程上った時には、土砂が扉を突き破り階段室に流れ込んでいた。
幸いにも、その土砂自体はそれほどたいした分量ではなかったから妨げにはならなかったが、それが意味すること…それはその階層すべてが土砂に飲み込まれたということだ。
上にいけばいくほど、被害は大きいようだった。
その推測は正しかった。
その上の階層もやはり、全部が土砂に埋まっていた。
つまり…一万人以上がいるであろうこの監獄で、生き残ったのは僕達だけ…
そんなことを考えると、酷く気が滅入った。
しかも、僕達は疲労困憊していた。
足が鉛のように重く、階段を上がるのがとても辛い。
足を持ち上げるようにして、一段一段踏みしめるようにして上る。
ふと見上げた先は、上り始めてから全く変っていないように見えた。
まるで、僕達が上った分だけ、頂上が離れて行くような…そんな妄想に僕は苦しめられた。
「畜生!どうなってやがるんだ!!」
階段を上る…
そんな単純なことが、これほどまでに堪えることだとは思ってもいなかった。
各自、水と食料を持ち、弱った体で黙々と階段を上って行く…
しかし、頂上はどれほど上ってもまるで近付く様子がない。
そのことが酷く気分を滅入らせてくれた。
それだけじゃない。
僕達の上の階は、ほぼすべてが土砂に埋め尽くされていた。
声をかけてみたが、どこからも物音一つしなかった。
おそらくその階の看守は二人とも死んだのだろう。
囚人たちがどうなっているのかは、冷たいようだが確認はしなかった。
あの様子ではきっとほとんどが死んだのではないかと思えた。
二階層程上った時には、土砂が扉を突き破り階段室に流れ込んでいた。
幸いにも、その土砂自体はそれほどたいした分量ではなかったから妨げにはならなかったが、それが意味すること…それはその階層すべてが土砂に飲み込まれたということだ。
上にいけばいくほど、被害は大きいようだった。
その推測は正しかった。
その上の階層もやはり、全部が土砂に埋まっていた。
つまり…一万人以上がいるであろうこの監獄で、生き残ったのは僕達だけ…
そんなことを考えると、酷く気が滅入った。
しかも、僕達は疲労困憊していた。
足が鉛のように重く、階段を上がるのがとても辛い。
足を持ち上げるようにして、一段一段踏みしめるようにして上る。
ふと見上げた先は、上り始めてから全く変っていないように見えた。
まるで、僕達が上った分だけ、頂上が離れて行くような…そんな妄想に僕は苦しめられた。
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