セリーヌの滝

１４

＊



 「ベネットさん…私…アリシアです。」

 「アリシア…？君、本当に元の世界に行ったんだね？」

ベネットは、アリシアをまじまじとみつめます。



 「ええ…そしたら、私、こんなことに…」

 「アリシア…僕は、以前、言ったはずだよ。
 元の世界では過ぎる時間が速いってことを…」

 「それは聞きました。」

 「つまり、そういうことだよ。
 君が元の世界にいた時に過ぎた時間で、君は年を取った…」

 「そ、そんな…ど、どうすれば良いんですか？
どうすれば、元の若い私に戻れますか？」

ベネットは、ゆっくりと首を振りました。



 「…どういうことですか？」

 「君はもう元の若さに戻れることはない。」

 「そ、そんな…！」

 「残念だけど…仕方がないよ。
ここでは時間は流れない。
だから、誰も年を取らないけど、若くなれることはないからね。
 今の自分を受け入れるしかないよ。」



アリシアは絶望しました。
 自分の身に降りかかった不幸に、涙が止まりませんでした。



こんなに年を取ってしまったのでは、ディランと一緒にいられるはずもありません。
アリシアは、村はずれの空き家に身を潜めました。