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 「な、なんだとっ!」

ディランの話を聞いたモーリスは、烈火の如く怒りました。



 「貧しい農夫の分際で、うちのアリシアと愛し合っているだと…?」

 「身分が違うことは重々承知しております。
ですが、僕は真剣にアリシアのことを愛しています。
これから先も一生懸命働いて、精一杯の努力をし、そしてアリシアを幸せに…」

 「貧しいおまえに何が出来るというのだ。
 何不自由なく育ったアリシアがおまえのような貧しいものと一緒になって、幸せになれる道理がないだろう!
 虫けらの分際で、よくもアリシアに手を出してくれたな。
 汚らわしい!
 二度とアリシアには近付くな!
 消えろ!おまえの顔など二度と見たくない!」

モーリスはディランを突き飛ばし、燃えるような目で睨みつけました。
ディランは、血の気の引いた顔でゆっくりと起き上がり、その場から立ち去りました。



 「ディラーーーン!」

 血を吐くようなアリシアの叫び声にも振り向くことなく…



ディランの心はすっかりひび割れてしまいました。
アリシアとはもう会えないのだと思うと、ディランは絶望に飲み込まれてしまいました。



ディランは、ふらふらと夢遊病者のように歩き続け…
辿り着いたのは、町はずれのセリーヌの滝でした。
 滝壺は、深いエメラルドの色に染まっています。



 (さようなら、アリシア…)



ディランは、碧い滝壺の中へ身を躍らせました。
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