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「下手な言い訳じゃのう。
今、あんたは愛しい人のことを考えておったんじゃろ?」
「ば、馬鹿なこと言わないでよ。
私には愛しい人なんて……」
「おぉ、おぉ、この期に及んでまだそんな嘘を吐くか。
気持ちだけはまるで少女のようじゃな、ひっひっひっ…」
なんだ、この婆さん…感じ悪ぅ。
心の中を見透かされた苛立ちに、私は思わず舌を打つ。
「あんたの友達も、ネットで知り合った人に自分から告白してうまくいったんじゃろ?
最近は草食系とかいう男が流行っとるようじゃからのう。
女が待っとるだけじゃ幸せは掴めん時代なんじゃな。」
「奈津美と私はまた事情が違うもん。」
「事情…?ほぅ…事情のう……」
おばあさんのその言葉は、人を小馬鹿にしたような言い回しに聞こえた。
「もうじきバレンタインデーという素晴らしい行事があることじゃし、思い切って告白してみてはどうじゃな?」
「だ~か~ら~~…」
「どっこいしょっと。」
おばあさんは立ち上がり、台所に歩いて行って……
って、足の痛みはどうしたんだ!?
「さぁ、これをやろう!」
そう言って、おばあさんは私の手の中に木の実のようなものをねじ込んだ。
「おばあさん…これは…?」
おばあさんは、薄気味の悪い笑を浮かべながら私に近付き、耳元にそっと囁いた。
「……惚れ薬じゃ。」
「な…何だって?」
「じゃから、惚れ薬じゃ!
良いか、それと砕いてチョコに混ぜ、それをあんたの好きな人に食べさせるんじゃ。
そうすれば、その人は間違いなくあんたに惚れる!」
「ま、またぁ……」
「魔女歴800年のわしが作った魔法の木の実じゃ。
効き目は100%保証するぞ!」
ま、魔女って、そりゃあルックスは魔女そのものだけど……しかも、800年って……
(……そんな馬鹿な……)
「これで、あんたにも春がやってくる。
さぁさぁ、前祝いといこうじゃないか!」
おばあさんは瓶の酒を私に注いでくれて……
それをぐいっと飲み干した途端、私はものすごい睡魔に襲われた……
今、あんたは愛しい人のことを考えておったんじゃろ?」
「ば、馬鹿なこと言わないでよ。
私には愛しい人なんて……」
「おぉ、おぉ、この期に及んでまだそんな嘘を吐くか。
気持ちだけはまるで少女のようじゃな、ひっひっひっ…」
なんだ、この婆さん…感じ悪ぅ。
心の中を見透かされた苛立ちに、私は思わず舌を打つ。
「あんたの友達も、ネットで知り合った人に自分から告白してうまくいったんじゃろ?
最近は草食系とかいう男が流行っとるようじゃからのう。
女が待っとるだけじゃ幸せは掴めん時代なんじゃな。」
「奈津美と私はまた事情が違うもん。」
「事情…?ほぅ…事情のう……」
おばあさんのその言葉は、人を小馬鹿にしたような言い回しに聞こえた。
「もうじきバレンタインデーという素晴らしい行事があることじゃし、思い切って告白してみてはどうじゃな?」
「だ~か~ら~~…」
「どっこいしょっと。」
おばあさんは立ち上がり、台所に歩いて行って……
って、足の痛みはどうしたんだ!?
「さぁ、これをやろう!」
そう言って、おばあさんは私の手の中に木の実のようなものをねじ込んだ。
「おばあさん…これは…?」
おばあさんは、薄気味の悪い笑を浮かべながら私に近付き、耳元にそっと囁いた。
「……惚れ薬じゃ。」
「な…何だって?」
「じゃから、惚れ薬じゃ!
良いか、それと砕いてチョコに混ぜ、それをあんたの好きな人に食べさせるんじゃ。
そうすれば、その人は間違いなくあんたに惚れる!」
「ま、またぁ……」
「魔女歴800年のわしが作った魔法の木の実じゃ。
効き目は100%保証するぞ!」
ま、魔女って、そりゃあルックスは魔女そのものだけど……しかも、800年って……
(……そんな馬鹿な……)
「これで、あんたにも春がやってくる。
さぁさぁ、前祝いといこうじゃないか!」
おばあさんは瓶の酒を私に注いでくれて……
それをぐいっと飲み干した途端、私はものすごい睡魔に襲われた……
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