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「騒々しい。
どうしたのですか?」

 「あ、エメット様!」



ちょうど通りがかったエメットに、門番は背筋を伸ばし、敬礼しました。



 「この男が、事情も言わず国王に会いたいと
 いうものですから…」

 「陛下に…?」

エメットはアーサーを見ました。
 身なりから察すると身分の高い者のようで、いかにも上質な生地を使った仕立ての良い上着を着ていました。
その佇まいも大変上品です。
 端正な顔立ちですが、どこかまだ幼さが残り、気の弱そうな一面も感じられました。
ですが、悪い印象は少しも感じられなかったので、エメットは一応話を聞いてみようと思いました。
 門番は戸惑いましたが、エメットに逆らうことも出来ず、渋々、アーサーを城の中へ入れました。



 「あ、あの…どうもありがとうございました。」

 恐縮するアーサーに、エメットは優しく微笑みました。



 「ごきげんよう。
 私はこの城の王女・エメットです。
あなたは?」

 王女の自分から名乗るなんておかしなことだと思いながらも、エメットはつい名乗ってしまっていました。



 「僕は……僕は、フォモール国の王子・アーサーです。」

 「王子…?フォモール…?」


エメットはその国名に聞き覚えがありました。
 記憶の糸を手繰るうち、エメットはその国名に思い当たりました。
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