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「どうかしたんだい?」

「アベル…こ、これ、見て!」

マリオンはアベルに本を差し出しました。



「こ、これは一体……
さっきまで何も書かれてなかったのに…!」

「そうよね……どうして……
あ、もしかして、さっき息を吹きかけたことが……」

アベルの目が一際大きく見開かれました。



「まさか、あれが封印を解く儀式だったとでも言うのかい?」

「そうよ…きっとそうだわ。
これは本当に魔女の知恵が綴られた魔法の本なのよ!」

「そんな馬鹿な……
魔女なんて、ただの伝説だ。
これにもきっとなんらかのからくりがあるんだ。」

「どんなからくりがあるっていうの?
あなただって見たでしょう?
さっきまでは白紙だったのよ。
なのに、今は、ほら…どのページにも文字が書いてあるわ!」

ページを指さしながら感情的に話すマリオンの剣幕に、アベルは少々たじろぎながらも、
さらに反論しました。



「だ、だけど…魔法とか魔女とか、そんなものは……」

「わかったわ!
だったら、あなたはもうこの本のことは忘れたら良い。
 私は、この本をしっかり読んで、一人で赤ちゃんを作るから…!」

そう言うと、マリオンは本を持って居間から去って行きました。
アベルは、マリオンの後ろ姿を目で追いながら、小さく肩をすくめました。



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