39 / 42
お母さんの秘密
4
しおりを挟む
「ねぇ、お母さん…お母さんは今でも私のお父さんのことを愛してるの?」
いないのに…
野田充彦さんなんて、お母さんの想像の産物にすぎないのに…それがわかっていながら、私はそんなことを口にしていた。
「ずいぶんストレートに聞くのね。
……ええ、愛してるわ。
一日たりともあなたのお父さんのことを忘れたことはない。」
「だから今まで再婚しなかったの?」
「ええ、そうよ。
私は充彦さん以外、誰も愛せないもの…
これまでも、そして、これから先もずっと…」
「そんな…もったいないわ。
お母さんはまだ若いし、綺麗なのに…」
「ありがとう…でも、私は充彦さん以外、関心がないの。」
「だったら……お父さんに会いに行けば良いのに…」
なぜ、そんなことを言ってしまったのかわからない。
もしかしたら、ありもしない妄想に浸りきって幸せそうな顔をしているお母さんになにか苛立ちのようなものを感じてしまったのかもしれない。
「私には、あなたを立派に育てる義務があるもの…
充彦さんとの間に出来たあなたは、私の宝物だったけど、それは充彦さんにとっても同じこと。
充彦さんから託されたあなたを立派に育て上げる義務があるのよ。」
義務という言葉に、私は反発を覚えた。
まるで、私のせいで再婚もしなかったと言われてるみたいに、私には聞こえた。
「だったら、これから会いに行けば良いじゃない。
私ももう22歳…この春からは社会人よ。
自分のことはもう何だって出来る。
お母さんの義務は、もう終わったのよ。」
なんて意地が悪いんだろう…
会いになんて行けるはずがないことをわかっていながら、私はそんな言葉をお母さんにぶつけていた。
お母さんは、どこか驚いたような顔をして、黙って私をじっとみつめた。
「……いいの?」
「え?」
「……本当に充彦さんに会いに行って良いの?」
「…………え、ええ。」
お母さんは、子供みたいな無邪気な顔をして、私にそう問いかけた。
それは今までに見たことのないような無垢な表情で…
(どうして?お母さん…どうしてそんな顔するの?)
私は答えに迷いながら、何とか頷いた。
いないのに…
野田充彦さんなんて、お母さんの想像の産物にすぎないのに…それがわかっていながら、私はそんなことを口にしていた。
「ずいぶんストレートに聞くのね。
……ええ、愛してるわ。
一日たりともあなたのお父さんのことを忘れたことはない。」
「だから今まで再婚しなかったの?」
「ええ、そうよ。
私は充彦さん以外、誰も愛せないもの…
これまでも、そして、これから先もずっと…」
「そんな…もったいないわ。
お母さんはまだ若いし、綺麗なのに…」
「ありがとう…でも、私は充彦さん以外、関心がないの。」
「だったら……お父さんに会いに行けば良いのに…」
なぜ、そんなことを言ってしまったのかわからない。
もしかしたら、ありもしない妄想に浸りきって幸せそうな顔をしているお母さんになにか苛立ちのようなものを感じてしまったのかもしれない。
「私には、あなたを立派に育てる義務があるもの…
充彦さんとの間に出来たあなたは、私の宝物だったけど、それは充彦さんにとっても同じこと。
充彦さんから託されたあなたを立派に育て上げる義務があるのよ。」
義務という言葉に、私は反発を覚えた。
まるで、私のせいで再婚もしなかったと言われてるみたいに、私には聞こえた。
「だったら、これから会いに行けば良いじゃない。
私ももう22歳…この春からは社会人よ。
自分のことはもう何だって出来る。
お母さんの義務は、もう終わったのよ。」
なんて意地が悪いんだろう…
会いになんて行けるはずがないことをわかっていながら、私はそんな言葉をお母さんにぶつけていた。
お母さんは、どこか驚いたような顔をして、黙って私をじっとみつめた。
「……いいの?」
「え?」
「……本当に充彦さんに会いに行って良いの?」
「…………え、ええ。」
お母さんは、子供みたいな無邪気な顔をして、私にそう問いかけた。
それは今までに見たことのないような無垢な表情で…
(どうして?お母さん…どうしてそんな顔するの?)
私は答えに迷いながら、何とか頷いた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる