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お母さんの秘密

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「家に戻った私は、村のことを両親に話したわ。
 村で結婚したことも…
だけど、二人は私の言うことを信じてはくれなかった。
 足を滑らせた時に頭を打ったんだろうって、病院に連れて行かれて、いろんな検査を受けさせられた…
でも、検査の結果に異状はなかったわ。
そして、その挙句に精神科に連れて行かれたのよ。
カウンセリングっていうものを何度も受けて、私はそのうちに、きっと直人と紗知のことで受けたショックが大きすぎて、一時的におかしくなってたんだって思うようになった。
そうでないと、説明がつかないもの…
だけどね…やっぱりそうじゃなかったの。」

 「……どういうこと?」

 「ある時、私は体調を崩したの。
それで、病院に行ったら…妊娠してることがわかったの。」

 「えっ!?」

お母さんは、穏やかな顔で微笑んだ。



 「本当に嬉しかったわ。
 私の体験したことはやはり夢でもなんでもなかったって確信した。
もちろん、それは充彦さんの子供…私が元の世界に戻ったことで、止まってた時が流れ出し、お腹の子供が成長を始めたんだって気付いたの…」

 「つまり…それが私だってこと…?」

 「そうよ。
あなたのお父さんは野田充彦さん。
 私が命を懸けて愛した人……
桜子という名前は、あの里の桜を忘れないようにつけたの。」



お母さんはとても幸せそうな顔をしてそう言った。
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